AngelCourt
□1stgame
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その少女は凛とした姿勢と表情で空港内を歩いていた。
短いとはいえさらさらと流れるミルクティ色の髪、意志が強そうな水色の瞳…身長が低いながらもスラッと伸びた手足
空港内で少女とすれ違う者は誰もが彼女の容姿に見惚れていた。
「Welcome to Japan !名無しさん」
『おじさん!それに倫子さんも!』
名無しさんは二人の姿を確認するとそちらに駆け寄り順番に頬にキスをする。
「名無しさんちゃん久し振りね。暫く見ない間にこんなに綺麗になっちゃって」
『ふふ、ありがとう倫子さん』
「しっかし名無しさん、お前も大変だな。あの親父に振り回されて」
『全くだよおじさん。見て!この髪だって折角伸ばしてたのに無理矢理美容室に連れてかれて切られちゃったんだから』
「はは!本当あいつ娘にも容赦ねぇ奴だな」
「あなた、名無しさんちゃん。立ち話も何だし車に行きましょうか」
苦笑をする倫子に名無しさんはうんと頷き車に向かい歩き始める。
『ねえおじさん。リョーマはやっぱり今日来れなかったの?』
「ああ。あいつ何だかんだ言って楽しそうに部活してるからな」
『そっか…』
「なあ名無しさん」
『ん?』
「そのよぉ…色々クリスから聞いてるがもうテニスすんのは嫌なのか?」
『ううん、テニス自体は嫌いじゃないし寧ろ好きだよ。ただもう大会とかそういうのには出たくないだけ』
名無しさんのその言葉に南次郎はそうかと微笑み頭をポンポンと叩く。
「まあなんつうか…色々と焦らずいこうぜ名無しさん」
『うん、ありがとう』
「ほら車に着いたぜ」
名無しさんは車に乗り込むとふぅっと溜め息を吐いた。
「名無しさんちゃん疲れたでしょう?着いたら起こしてあげるから寝てなさいな」
『うん、ありがとう倫子さん』
名無しさんは倫子に礼を述べゆっくりと目を閉じ深い眠りへと落ちていった。
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