deep sleep
□お菓子より大好きな
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「おいダサ子」
『…私はダサ子なんて名前じゃありません』
「よく言うぜぃ。おさげでそんな瓶底眼鏡してる女がダサ子じゃなかったらなんなんだよぃ」
なにその面白くて仕方がないって顔。
ほんっとにムカつくんだけど
『幼馴染みだからって何言っても許されるなんて思わないでよね』
「幼馴染みだからこそ言ってやってるんだろぃ。俺としても自分の幼馴染みがダサ子なんて嫌だからよぃ」
『あーはいはい。ダサくて悪かったわね』
あんたが無駄に目立ちすぎるんでしょーが。
私は教科書をさっさと鞄にしまい席を立った。
「もう帰んのかよぃ」
『学校終わったんだから当然でしょ』
「一人寂しく帰るなんて寂しい女だよなお前」
『いつもいつも一人でケーキ食べに行ってるブン太にだけは言われたくない』
「残念でした。俺はお前と違っていっくらでもバイキングに付き合ってくれる奴の一人や二人いるぜぃ」
『あっそ』
「一緒に帰ってブン太って語尾にハートマークつけながらおねだりしてくれたら一緒に帰る事考えてやらなくもないけどな」
『ばっかじゃないの』
駄目だ
また堂々巡りになってるし
全く毎回毎回同じような喧嘩売って
飽きて来ないのかなこの甘党男様は
『私もう帰るから。柳君と一緒に帰る約束してるし』
「参謀と?」
『何その顔。ご自慢の可愛いお顔が
台無しになってますけど?』
「ダサ子。お前参謀に気でもあるのかよぃ」
ブン太のその言葉に私は思わず顔を熱くさせてしまいその言葉を否定した。
『違うから!柳君はただの友達だしっ』
「ふ〜ん…その割りに顔赤くし過ぎだろぃ」
『うっ…煩いな!それじゃあね』
私は鞄を掴みブン太にそう告げ教室を後にした。
『柳君!』
「名無しさん」
『待たせちゃってごめんね』
「いや、俺も今来た所だから気にするな」
校門で待ち合わせをしていた私と柳君はそう言いながら微笑み合った。
ああ…
なんて優しい人なんだろう柳君は
ブン太も見習えばいいのに
私が尊敬の眼差しで柳君を見つめていると柳君は何故か顔を赤く染め顔を背けてしまった。
「名無しさん…」
『えっあ、なに?』
「そんなに見つめられると流石の俺でも困るのだが」
「なに校門でイチャついてんだよぃ!」
柳君の言葉の語尾と重なってブン太の声が聞こえたので私がそっちを向くと女の子を連れながらにやにやと笑うブン太の姿があった。
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