deep sleep
□貴方の奴隷です
1ページ/9ページ
『す…好きです!私と付き合って下さい!!』
はぁ…またか
最近多いな
「ごめんね。僕今テニスしか興味ないんだ」
僕はいつものお決まりの返事を目の前にいる女の子に向かって言い放った。
また泣かれちゃうかな…
僕のその思いとは裏腹に彼女は両手を組みながら更にパアッと表情を明るくしながら僕を見つめてきた。
『なら私をあなたの奴隷にして下さい!』
「…は?」
この日から僕の穏やかな日常が変わった。というよりもそれはそれでもしかしたら楽しめるかもしれないと思いとりあえず名無し名無しさんという女の子を奴隷にしてみることにしたんだ。
「あれ?僕確かポンタが飲みたいって頼んでおいた筈なんだけど…」
『すっ、すみません周助様!!すぐに買って参りますっ』
お昼時間にテニス部の皆と屋上でご飯を食べる事が恒例になっていていつの間にか名無しさんが図々しくもそれに加わり一緒に食べるのが当たり前になっていた。
「クスッ…ねえ、下僕の癖にご主人様の事待たせるだなんて使えないね」
「不二、言い過ぎだぞ」
「いや待て手塚。名無しを見てみろ」
「…?」
乾にそう言われた手塚は僕から名無しさんに視線を移しその目を見開いた。
「まっ…まさかとは思うが喜んでいるのか?!」
『はっあ〜ん!たまりません周助様っ。お望みならもっと私を貶して下さい!』
「馬鹿じゃないの?何で僕が下僕如きを喜ばせないといけないのかな」
『いっ…いい!いいです周助様!!私すぐにポンタ買ってくるので待ってて下さいね?!』
顔を真っ赤にしながら立ち上がり屋上を後にする名無しさんを皆は苦笑混じりで見つめていた。
「にしても不二先輩羨ましいっすね」
「なにが?」
「だってド変態とはいえあんな可愛い奴が奴隷だなんて羨ましいとしか言いようがないっすよ!」
「そう?面倒臭いんだけどね」
「へえ、なら俺が名無しさんの事奴隷にしていいっすか?」
越前がにやりと笑いながらそんな事を言ってきたので僕は胸にもやっとした感情に首を傾げながらも越前に笑い返した。
「ふふ、越前にはあのドMを相手するのはまだ早いよ」
「ちぇ…」
「けど名無しも変わった女の子だにゃあ。俺だったら好きな相手にこんな扱いされたら泣いてる所だにゃ」
「僕も最初はすぐ根を上げて離れてくと思ったんだけど中々根性ある子でね」
僕がクスリと笑いながらそう告げるとタカさんが苦笑しながら口を開いた。
「はは、不二お前」
「なにかな?」
「なんだかんだ言いつつ名無しの事気に入って…」
「ありえない。あんなド変態ドM女好きになるなんてありえないから」
僕はタカさんにそう返事をしおかずを口の中に入れそれをもぐもぐと咀嚼した。
「ふむ…不二は照れるとそういう態度をとるのか。いいデータが取れた」
「乾…」
僕が目を開きながら乾を睨み付けると乾は肩を竦めながらすまんと謝ってきた。
『ハッ…ハァッ…周助様!買って参りました!』
「遅いよ」
息を切らせながら僕に向かって微笑んでくる名無しさんを見上げるとその頬は赤くなっていて僕は再び目を見開いてしまった。
.