web拍手お礼
□強引にも程がある
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『はぁ〜…やっと終わった』
「ご苦労だったな名無し。お前にしては上出来じゃねえの」
燦々と太陽が照り付ける中名無しが軽井沢の別荘のコート整備を漸く終え手で汗を拭っているとパラソルの下で優雅にも飲み物を飲みながら跡部からそう労りの言葉を掛けられたので名無しは思い切り跡部を睨み付けた。
『なぁにが上出来じゃねえの、よ!貴方がどうしても手伝って欲しいって言うから私はこうしてわざわざ軽井沢に来たっていうのにその張本人が働かないってどういう事?!』
「あーん?お前は氷帝テニス部のマネージャーだろが。マネージャーならマネージャーらしくマネージャーの仕事すんのは当然だろ」
『私が言ってるのはそういう事じゃなくて何で頼んで来た張本人が優雅にパラソルの下でジュース飲んでるのかって言ってるの!普通逆でしょっ』
「ふざけんな。このくそ暑い中コート整備なんざやったら俺様の美しい陶器のような肌が焼けちまうじゃねえか」
『うっわムカついた。すっごいムカついた。何その小憎たらしい顔と態度と口調は。そのパラソルの下から引き摺り出してこげこげに焦がしてあげようか?ん?』
にこにこと怖い程の笑みを浮かべながら名無しが跡部の顔に思い切り顔を近付けると跡部は冷や汗を浮かべ名無しから少しだけ顔を逸らしてしまった。
「お…俺様に凄んで見せるなんざいい度胸してんじゃねえか。だがな、怖くもなんともねえんだよばぁか」
『ふうん。怖くも何ともないなら顔を逸らさず私の顔見ながら同じ台詞をもう一回言ってみなさいよ。ほら、早く』
「チ…チッ…お、おい名無し。お前休憩取ってねえから疲れてんじゃねえか?特別に休憩取る事を許可してやるからゆっくり休め」
『話逸らさないでくれない?』
「じょっ…乗馬」
『はい?』
「お前そういや軽井沢に向かう途中乗馬がやりてえって言ってたな。時間空いてるし今から乗馬しに行こうじゃねえか」
『え、本当?』
「ああ。お前馬乗れねえだろうから俺様が乗せてやるよ」
『やった!そうと決まったら早く行こうよ』
すっかりと機嫌を治した名無しを跡部はほっと胸を撫で下ろしつつも笑みを浮かべながらはしゃぐ名無しを見据えていた。
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