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□意地悪な詐欺師
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面白い映画のDVDを借りたので一緒にどうかと仁王から誘われた名無しは自分なりの目一杯のお洒落をして仁王宅へ向かっていた。


『どど…どうしよう。何だか凄くドキドキしちゃう』


実は暫く前から密かに付き合い始めていた二人だったのだがいつもは誰かしらが一緒に(正確には邪魔をされていた)いた為に滅多に二人きりになるという事がなかった為仁王の家に近付く程に名無しは緊張で胸を高鳴らせてしまっていた。


『も…もうちょっとで着いちゃう。はぁ…本当に緊張して死にそうかも』


「何一人でぶつぶつ言っとるんじゃ名無し」


『ひゃっ!あ…に…仁王君?どうしてここに』


「もうとっくに着いてていい時間なのにおまんが中々来んから迎えに来たナリ」


『え?あ、そうなの?あの…ありがとう』


恥ずかしそうに顔を俯かせる名無しに仁王はふっと笑みを浮かべながら頭を撫でてやったあと名無しの手を握り締めた。


『にに…仁王君何をっ…』


「ククッ…過剰反応し過ぎじゃ。ただ手を繋いだだけじゃろ」


『うっ…あの…でも…』


「ほれ、時間が勿体無いから行くぞ」


こんな些細な事で照れてしまう名無しのその初々しい姿に仁王は可愛い奴じゃと思いながら再び笑みを浮かべていた。


「ここが俺んちじゃ」


『お…大きい家だね』


「そうか?」


『う、うん。ちょっと感動したかも』


「感動ってなんじゃ感動って。入るなり」


『あ、うん。それじゃあお邪魔します』


仁王に促されるまま家の中に入った名無しは手土産を持ってきていた事を思い出し紙袋を仁王に差し出した。


「これは?」


『えっ…えっと、お家にお邪魔するし持ってきたの。甘い物なんだけど仁王君甘いのは大丈夫?』


「勿論じゃ」


嬉しそうな表情を浮かべ再び名無しの頭を撫でてやったあと仁王は名無しを連れ自室へと向かっていった。


『わ…わぁ〜。仁王君の部屋って感じだね』


「まあごちゃごちゃしとるのは好かんし必要な物さえあれば十分じゃからな。それよりそこに座るナリ」


『う、うん。失礼します』


少し大きめなソファに遠慮がちにちょこんと座る名無しに仁王は苦笑しながら隣に腰を下ろしリモコンを手に取りテレビとDVDの電源を押した。





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