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□告白は悪戯をしながら
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氷帝テニス部部員レギュラー陣からハロウィンの招待状を貰った名無しはその会場となる跡部景吾の屋敷へ向かっていた。
あの部長はこういったイベントごとが本当に好きなんだなと思いながらやがて辿り着いたやけに大きい玄関のチャイムを鳴らした。
「ようこそいらっしゃいました名無し様」
『こんにちはミカエルさん。あはは、ミカエルさんまで仮装ですか?』
「はい。坊っちゃまよりこういった事は何事も最初が肝心だとお聞きしましたのでミカエルも頑張ってみました。どうでございましょうか」
『ミカエルさんも大変ですね。けどとても良くお似合いですよ。その神父様の仮装』
「ありがとうございます。さあ、坊っちゃまやご友人の方々がお待ちです。お好きなお部屋へどうぞ」
『お邪魔します』
ミカエルに促され屋敷の中へ足を踏み入れた名無しは本格的なその飾りにあまりに本格的過ぎて少しだけ体を震わせてしまった。
自分がこういったお化け屋敷的なものは苦手だという事は部員達も知っている筈なのにあえてこんな飾りにするなんて酷過ぎるではないかと部員達に怒りさえ沸いてきてしまった。
薄暗いこの屋敷の中を1人で歩くなんてと名無しが歩き出すのを戸惑っていると後ろから肩を叩かれたので思わず肩を跳ね上がらせてしまった。
『ひい!』
「驚かせてしまい申し訳ありません名無し様。これをお渡しするのを忘れていました」
『わあ…パンプキンのランプだ。可愛い』
「室内はとても薄暗くなっておりますので足元にお気をつけください」
『は、はい』
自分をにこにこと見据えるミカエルに今更やっぱり帰るだなんて言い出せなくなってしまった名無しはミカエルに頭を下げたあとゆっくりと長い廊下を歩き始めた。
『うわ〜…ご丁寧に蜘蛛の巣まで作ってあるしそれにこの騎士の甲冑なんて怖すぎるよ』
まるで西洋の廃屋敷をイメージさせるようなその作りに名無しがビクビクとしていると1つの扉からドンドンと扉を叩く音が聞こえてきたので、名無しは喉の奥で悲鳴を上げ無我夢中で廊下を駆け出し1つの部屋へ入り身を隠した。
苦しい程に鳴り響く動悸を抑えながらほっと胸を撫で下ろしていると後ろから何かを押し付けられたので名無しはゆっくりと体を反転させた。
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