番外編

□初めてのキモチ
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「はあ…」

「ダダダーン!どうしたんですか千石先輩!」

「あ〜、壇君。別に何でもないよ〜」

「何でもない人の顔じゃないですですっ」

壇君に気が付かれちゃう程俺顔に出てる?
ていうかそりゃ出ちゃう程落ち込んじゃうよね。
だってさ、合宿以来名無しさんちゃんに会ってないし連絡もしてないし。
してないっていうかしても返事中々くれないんだもんなぁ名無しさんちゃんは。
俺って女の子追い掛けるの大好きだけど別に連絡来ようが来まいが構わなかったのにこんなに連絡が来なくて落ち込むなんて初めてかもしれない。

「あっ、先輩!あそこで女の子達が手を振ってますよ」

「ええ〜?」

「き〜よ〜!」

「もう部活終わるんでしょ?帰り遊んでこうよ〜」

「どうしようかなぁ…ん〜、まあいいよ。じゃあ着替えてくるから待ってて」

「「了〜解!」」

俺がやれやれと溜め息を吐いていると壇君が戸惑ったような…ううん、驚いた顔して俺を見てたから俺は首を傾げてしまった。

「ん?どうかした壇君」

「せせ…千石先輩どうしたんですか?!」

「えっ、何が?」

「だっ…だっていつもは君達に誘われる俺ってラッキー!って言うのに言わなかったですですっ」

「…嘘。俺言ってなかった?」

「はいです!」

「マジかぁ…なぁんか調子出ないなぁ」

おっかしいなぁ。
前は可愛い可愛い女の子達からお誘いあったら飛び付いていったのに…
もしかして俺男としての大事な部分が機能しなくなっちゃった?
確かに名無しさんちゃんっていう本命が出来たけど前も本命出来た時、普通に楽しく女の子達と話したりラッキーとか思ってたんだけどな。
ていうかさっき正直言うとちょっと面倒臭いなぁなんて思っちゃったし。

「あ〜っ…もう!何か苛々するなぁ」

「先輩落ち着いて下さい!」

「いや〜、若いですねぇ千石君。春ですね春」

「伴じい…」

「その恋愛にかける集中力をもっとテニスでも発揮してくれるといいんですけどね」

「それ嫌味かよ〜」

「嫌味ではありません。意見です」

にこにこといつもの笑みを絶やさずそのまま通り過ぎて行った伴じいを目で追いながら俺はやっぱ嫌味じゃんかと呟き、持っていたラケットをラケバにしまいおろおろする壇君に手を振り部室へ歩き出した。
あ〜あ、着替え終わったらもう1回名無しさんちゃんにメールしてみようかな。
こんなにもやもやしながら連絡来るの待ってる位なら自分からがんがん連絡しちゃった方がいいもんね。
まさに当たって砕けろだよ。
まあ砕けちゃ駄目だけどさ。
俺は部室に入りロッカーを開け早速携帯を取り出し名無しさんちゃんにメールを送り女の子達を待たせても悪いし早々と着替え始めた。






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