彼女の愛で方

□プロローグ
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−−8years ago

『周ちゃん見てみて〜!』


「え、名無し?」


突然不二家のリビングに飛び込んで来た名無しに周助だけではなく不二家一同は食事中にも関わらず目を見開いたまま一瞬固まってしまった。


「名無しちゃん?!どうしたの急に」


「それにどうやって入ってきたの?」


『ふふ、あのね!あのね?ママから周ちゃんちのお家の鍵借りてねこれ見せにきたの〜』


そう言いながら名無しは体をクルリと回転させ満面な笑みを浮かべてみせた。


「ランドセル?ああ、そういえば名無しちゃんももうすぐ1年生だもんね」


「なんだよ名無し。それ自慢しに来ただけかよ。ビックリさせんな」


『えへへ、ごめんね裕ちゃん。ねえねえ似合う?名無しももうすぐねランドセルしょって由美ちゃんと裕ちゃんと周ちゃんと一緒に小学校行けるんだよっ』


「うん、そうだね。僕も名無しと一緒に小学校行けるの楽しみ」


周助はにこにこと微笑みながら名無しの頭を撫でてやりそれを名無しは心地良さそうに目を閉じながら受け止めていた。


「あらあら、ふふ。相変わらずラブラブなんだから」


「そうね。私達だってこんなに名無しちゃんの事可愛がってるのに寂しいかも。ね、裕太?」


「なっ、なんで俺に振るんだよ!」


「それより名無し。そのランドセル凄く似合ってるね。きっと1年生の中で一番可愛くてランドセルが似合う女の子なんだろうなぁ」


『本当?!』


「うん、本当」


「兄貴...俺の存在は無視かよ」


裕太の言葉を聞いているのかいないのか周助は普段よりも顔を緩ませながら名無しの頭を撫で続けていた。


「それより名無しちゃんご飯は食べてきたの?」


『ううん、まだ!周ちゃんちで食べて来るって言ってきたの』


「ふふ、そう。そう言うと思った。準備するからランドセル下ろして椅子に座ってね」


『うん!』


名無しはいそいそとランドセルを下ろし周助の隣に座り嬉しそうに微笑みながら周助の服の裾を引っ張った



「どうかした?」


『お耳貸して周ちゃん』


「ふふ、いいよ。これでいいかな」


『うん!』


名無しは少しだけ恥ずかしそうに周助の耳元に顔を寄せると二人にしか聞こえない声で囁いた。


『あのね、名無しもうすぐ小学校行けて本当に嬉しいんだ』


「クスッ...そう」


『だってね、大きくなる度に周ちゃんのお嫁さんになれる日が近付いてるんだもん。名無しね、絶対の絶対に周ちゃんのお嫁さんになるんだ』


「名無し...」


名無しのその可愛らしい言葉に周助は顔を真っ赤に染めてしまい顔を俯けてしまった。



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