彼女の愛で方

□Lesson2
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その日の晩、名無しは携帯とにらめっこをしながら難しい顔をさせていた。


『どっ...どうしよう。メール送ってもいいかな』


先程から打っては消し打っては消しを繰り返していた名無しだったが溜め息を吐き出し携帯を机に置いた。


『...明日学校で会えるだろうし別にいいよね』


ぽつりと名無しがそう呟いていると携帯が机の上で振るえたので名無しは慌てて携帯を手に取った。


『しゅ...周ちゃんかな』


胸をバクバクとさせながら名無しが携帯を操作するとそこには不二の名前が表示されており自然と口元が綻んだ。


『なんてきたのかな』


“名無し、今何してるの?”


『なっ...何してるってえっと...しゅ...周ちゃんにメール送ろうとしてた所だよっと』


“本当に?凄いね、僕達タイミングバッチリみたい”


『ふふ、そうだね...っと』


暫くメールでのやり取りが続いていたが突然携帯の画面に不二の名前が表示された着信があったので名無しはあわあわとしながらそれを耳にあてた。


〔もしもし名無し?〕


『うううっ...うん!』


〔クスッ...何動揺してるの〕


『だっ...だっていきなり周ちゃんが電話掛けてくるから...』


〔自分の彼女にいきなり電話しちゃいけないの?〕


『そそ...そんな事...』


〔ふふ、ごめんね。ちょっと意地悪な事言っちゃったね〕


『...ううん!』


〔ねえ名無し。明日なんだけど良かったら一緒に学校行かない?といっても僕は朝練だからそれに付き合わせちゃう形になっちゃうし朝早いけど...〕


『いい...行く!私周ちゃんと一緒に学校行きたい!』


名無しのその返事に電話越しに不二のクスクスという笑い声が聞こえてきたので名無しは首を傾げてしまった。


『周ちゃん?』


〔笑ったりしてごめんね。でも名無しが可愛いから...〕


『ええ?!そんな事ないよっ』


〔そう?ふふ、名無しは昔っから本当に分かり易い子だよね〕


『そ...そうかな?』


〔うん。それじゃあ明日名無しの家に迎えに行くからきちんと準備して待ってるんだよ?〕


『うん!』


〔もういい時間だし早く寝るんだよ名無し〕


『うん』


〔おやすみ名無し。寝る前に名無しの可愛い声聞けてよかった。大好きだよ〕


『わっ...私も大好きだよ周ちゃん!おやすみなさい』


〔うん。それじゃあね〕


『うん』


携帯を耳から離した名無しはふにゃりと顔を緩ませながらベッドへ潜り込み携帯を握り締めた。


『やっと周ちゃんと一緒に学校行けるんだ。私のお願いが漸く叶うんだっ』


煩い程に高鳴る鼓動を何とか抑えながらも名無しは明日に備え眠りにつこうと目を閉じた。




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