彼女の愛で方

□Lesson4
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「なあなあ名無しちゃん」


『...』


「あれ?聞こえてへん?お〜い、ラブリーキュートな名無しちゃ...」


『ややっ...止めて下さい!』


青学と不動峰の試合中スコアを取っている名無しの横にちゃっかりと座っていた忍足は漸く名無しが口を利いてくれた事に対し満足そうに笑みを浮かべてみせた。


「怒った姫さんも可愛ええなぁ」


『いっ...今私忙しいんですからじゃ...邪魔しないで下さいっ』


「ほなら後ならええて事やな?」


『ち...ちがっ...』


「ちょっとあんた。不二先輩が試合中で居ないからって調子乗り過ぎだし煩いんだけど」


「鬼の居ぬ間に何とやらやろ?邪魔せんといてや」


「邪魔も何も名無しが嫌がってんじゃん」


『ああ...あの!お二人共喧嘩はっ...』


赤い顔をしながら必死に二人の喧嘩を止める名無しに越前と忍足はそれぞれ別の意味での溜め息を吐き出した。


「ええなぁそん顔。もっと苛めとうなるわ」


「そんな顔してるからこんな変態に付きまとわれるって自覚しなよ馬鹿名無しっ」


『あうっ...』


「いい加減にしろ」


『て...手塚部長...』


今まで黙ってその様子を見ていた手塚はいい加減見兼ねたのか二人を鋭い視線で睨み付けた。


「今が試合中だと分かっている筈だ。プレー中の選手の集中力をなくすような行為をするならこの場から今すぐ出ていけ」


「...すいませんっす」


『ああ...あの...ぶ...部長!りょ...リョーマは私を助けてくれて...』


「名無しさん」


『は、はいっ』


「お前は本当に目が離せない奴だな。俺が安心出来るように俺の隣でスコアを書くといい」


『ありがとうございます...?』


手塚に促されるまま名無しが手塚の横に腰を下ろすと手塚は二人に向かってふっと微笑んでみせた。


「なっ...なんやねんあいつのあの勝ち誇った顔は。めっちゃ腹立つわ」


「...結局自分の隣に居させたいだけなんじゃん。部長もまだまだだね」


「姫さん居ないんやったら俺居る意味ないし戻るわ」


忍足はそう越前に告げた後ベンチから立ち上がりその場を去っていってしまった。


「はぁ...だから俺は氷帝って嫌いなんだよね。変態多すぎ」


「んふ。お久し振りですね越前君」


「...誰だっけ」


忍足と入れ違うように青学ベンチに入ってきたくせっ毛の少年にそう越前が返事を返すと少年は顔を引きつらせながら作った笑みを浮かべた。





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