彼女の愛で方

□Lesson5
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『ねえ周ちゃん』


「なに?」


『何処に行くの?』


「ふふ。何処だろうね」


電車に揺られながら名無しがそう聞くと不二は笑みを浮かべそう返事を返した。


『教えてくれないの?』


「う〜ん。参ったなぁ...そんな顔されると内緒にしておきたいのに出来なくなっちゃうじゃない」


『じゃあ...!』


「クスッ...やっぱり教えない」


『そんな』


がっくりと肩を落としてしまった名無しを横目で見下ろしながら不二はそれは面白そうにクスリと笑い名無しの手を握り締めたかと思うと停車した電車から降り歩き始めた。


「ヒント。名無しが大好きな所です」


『私が大好きな所?』


「そう」


『う〜ん...』


「自分の好きな所なのにそんなに考え込むかな」


『だってありすぎるから』


「へえ、そんなにあるんだ。例えば?」


『例えば周ちゃんの家とかいつも周ちゃんと歩いて学校へ行く道とか...かな』


ふにゃりと笑いながらそう答える名無しに不二は目を丸くし頬を赤く染めた後思わずクスクスと笑ってしまった。


「全部僕がついちゃうんだ。ふふ、嬉しい事言ってくれるじゃない名無し。僕も名無しと一緒にいれる所だったら全部大好きだよ」


『えっ...あ...ありがとう』


「名無し顔が真っ赤だよ。可愛いね」


『しゅ...周ちゃんこそ』


「それは仕方ないよ。だって名無しが可愛い事言うから」


さも当然のようにさらりとそう答える不二に名無しは更に頬を赤く染めながら顔を俯けた。


『...またそういう事を恥ずかしげもなく言うんだから』


「だって恥ずかしくないからね。僕は思った事をそのまんま君に伝えてるだけだしそれっていけない事かな」


『そ...そんな事ないっ。その...嬉しい...です』


「ふふ、そう?そんなに喜んでくれるならこれから毎日名無しに僕が思ってる事言おうかな」


『いっ...いい!毎日言われたら心臓爆発しちゃうよっ』


必死にそう訴える名無しに不二は悪戯な笑みを浮かべながら空いている手で名無しの頭を撫でた。


「いい事教えてあげようか。そんな顔ばかりしてるから僕に意地悪な事言われちゃうんだって事名無しは自覚した方がいいよ」







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