彼女の愛で方
□Lesson8
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−−side ATOBE
「きゃ〜!誰あの人!!」
「格好良くない?!」
煩えぞ雌猫共
俺様はな
お前らみてぇな雌猫に
用なんかねぇんだよ
俺は車から下り騒がしい雌猫の間を素知らぬ振りで通り一直線にテニスコートに向かっていた。
そもそもだ
そもそもこの俺様が
こうしてわざわざ青学に
来たのには理由がある
あのチビスケ...
いや名無しさん名無しに
会うためにこうして来たわけだ
ハッ...あのチビ
チビスケの癖にわざわざ俺様を
こうして青学に来させちまうなんざ
中々やるじゃねぇの
ボールの打ち合う音が聞こえてきたので俺はそっちに足を向け暫く歩いていくとフェンス越しから目的の人物を発見しじっと見据えた。
『せせ...先輩方!あの...た...タオル...』
「え?ああ、ありがとにゃ名無しちゃん」
「ふむ。今日もいいきょどりっぷりだな名無し」
「ねえ名無し。ドリンクは?」
『あ...い...今取ってくるっ』
「そう慌てるな名無し。そんなに急ぐと転ぶぞ」
「ふふ、名無し。僕達なら大丈夫だから慌てない慌てない」
『ありがとう周ちゃん』
おいおいおい
何なんだよこの雰囲気は
いつから青学は過保護集団になった
チビスケの事甘やかし過ぎだろ
眉間に皺を寄らせながら俺はチビスケを更に穴が開く程見据えていたがあいつは俺が見ている事に気付いてないのか不二に向かって...いや不二だけに対して満面な笑みを浮かべていた。
「チッ...苛々するぜ。俺様の前ではびくびくしてる癖に不二の前ではそうやって笑うのかよ」
...あーん?
つうか何で俺様が苛つかなきゃ
いけねぇんだよ
マジで見てるだけで俺様を
こんなに苛つかせるなんざ
ある意味才能だな
俺は鼻を鳴らした後フェンスを開けコートの中に入っていった。
「あ...跡部さん?!なんでここにいるんすか?!」
「フシュゥゥ...試合の申し込みっすか」
「てめぇらには用はねぇんだよ。俺様が用事があるのはそのチビスケだ」
『ええっ?!』
なんだその反応はよ
どうせ反応するなら
この間みてぇに可愛いらしく
反応すりゃいいのによ
あの日の事を思い出しながら不二の後ろに隠れるチビスケを睨み付けていた俺だったが不覚にもその顔があん時の顔と重なってしまい俺は思わず顔を熱くさせてしまった。
「ん?顔が赤いみたいだけど大丈夫なの、跡部」
「問題ねぇよ。つうかおいチビスケ。いい加減不二の後ろから出てきやがれ」
『あ』
俺が無理矢理チビスケを引っ張り出すとチビスケは少しだけ震えながら俺を見上げてきたので俺は嗜虐心が疼いてしまうのを抑えながら口端を上げた。
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