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□My pretty girl
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「跡部様。本日はどのように…」


「とりあえずこいつのダサさを何とかしてくれればいい。それから少しメイクしてやってくれ。あとは任せる」


『ちょっと跡部君っ』


「ぎゃあぎゃあ煩えんだよ。協力してやってんだからお前は大人しくしてろ」


『なっ…なんて俺様な人なんですか!』


「クックッ…なんだお前今更気付いたのかよ。遅えんだよばあか」


『…〜っ!』


鼻で笑った上しまいにはソファに深々と座り足を組み雑誌を読み始めた跡部を睨み付けたあと名無しは盛大な溜め息を吐き出した。


『…俺様なのは知ってたけどここまで酷いとは知らなかった』


「何か仰りましたか?」


『いっ…いえ、何でもないです』


不思議そうな顔をする美容師に名無しはそう告げたあともうどうとでもなれという気持ちで目の前の冴えない自分が映る鏡を見つめていた。


「終わりましたよ」 
  

『わ…わあ。これが私ですか?』


「ええ。紛れもなく名無しさん様自身です」   


『こんなに変わるなんて髪型とメイクの力って凄い』   


先程と違って別人のように鏡に映る自分に驚きを隠せずに暫く眺めていたが鏡の端の方でいつの間にかうたた寝をしている跡部が目に入り名無しは跡部の元に歩いていき肩を叩いた。


『跡部君、終わりましたよ。跡部君?』
 

「ああ…終わったか」

 
『はい。お待たせしました』
 

「なんだよ名無しさん。お前随分素直に…」  
 

『どうかしましたか?』


名無しの姿を目に捉えた瞬間跡部が目を見張ったまま黙り込んでしまい、名無しは困ったように首を傾げてみせた。


『あの…変でしょうか』 


「…いや、変じゃねえよ。か…可愛くなったじゃねえか」
 

『かっ…かわ…!?あ…ありがとうございます』 


「ふん…次行くぞ」 
   

『え…まだ何処かに行くんですか?』 


「当然だろ」
 

『でっ…ではその前に眼鏡を返して貰えないでしょうか。ないとやっぱり不便で』 


「あーん?返す訳ねえだろ。お前はメイクを台無しにするつもりか」
 

『だってぼやけて歩くのに危ないんですもん』   


「ならこうしててやるよ」  


『あ』


跡部に手を握られてしまった名無しは頬を真っ赤に染めながら跡部を見上げると跡部も名無し同様に頬を赤く染めていた。


『もしかして照れてらっしゃいますか?』


「ばっ…馬鹿かお前。なんで手ぇ繋いだ位で照れなきゃなんねえんだよ」


『そそ…そうですよね』


「いいからとっとと行くぞっ」

  
『わっ…ひ…引っ張らないで下さいよ!』  


グイグイと手を引かれながら店を出た名無しだったがやはり後ろから見ても耳まで真っ赤にする跡部を可笑しそうに見据え改めて自分はこの人が好きなんだと胸を暖かくさせていた。




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