星の中の君

□ーCold Nightー5
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「ッ…ハぎょ…





衝撃がカラダを巡る






気がついたら唇にハギョンを感じる










知った味だった











ハギョンの香りが俺の全てを埋め尽くす


脳内がおかしくなりそうだ








は、ハギョン ?












唇から離れていくハギョンの目は
寂しそうで黒いまつ毛が重く感じた










「ど…どうし…た?」








うつむく顔をパッとあげる








「テグナもさっきしたでしょ!
お返しッ!!!」









「そ、それは…」









バカか…
こんな人混みの中で…









「そうだ!買い物に行こッ!!
ねぇ?行こッ!」






俺の袖を引っ張りムリやり歩き始める




どういう風の吹き回しだよ…




でも
本当は嬉しかった。







暖かい気持ちになったのは
いつぶりだろう…?






最近はデビューのことでストレスを溜め込みすぎてたみたいだ…






引っ張られる手に自然と腕を絡める





思った以上に細い腕に戸惑う…









こんなに痩せるなんて…








努力家なのは知っていたけどここまで痩せるほど努力しているなんて気づかなかった…





初めて出会った時
突然肩を組まれて”よろしく”と
馴れ馴れしく声をかけてきた
いくら同い年でも…
ものすごく失礼な奴だと思った






誰にでも笑顔なのに
腹が立ったこともあった…






ハギョンは自分を”犠牲”にしてると心配していた






でも今は自分のことで精一杯になって周りのコトまで考えてやれなかった…





自分だけがデビューのために
もがいているワケじゃないって…








「ここのお店入ろうッ!
最近忙しくて中々来れなかったんだ」







ハギョンはいかにも高そうなシックにまとめられたショップに腕を引いた








店内は俺の好きな雰囲気で
かっこいい最新の服が並ぶ…








「コレ!どう???」








「カッターシャツ…?」






ハギョンはシンプルな
白のカッターシャツを自分の体に合わせながら嬉しそうに笑う







「テグナは
ファッションにも疎いの〜??」





「ただのカッターシャツだろ…」








チッチッと舌打ちをしながら呆れたように首を振る









「ここ見て!このオシャレな
ロゴがテグナには見えないの?!」








言われて指されたシャツの襟元を見ると黒い英字のロゴが刺繍されていた









「”Blind Love”…?」









「かっこいいでしょ!”盲目の愛”って
なんだかロマンチックじゃんッ」








語尾に音符マークでもつきそうなほど
子供のように喜ぶ姿がバカバカしいけど愛おしかった









「似合ってるよ…すごく」








すごく似合ってる…







この世で一番ってほどに






輝いてる…ハギョン…

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