離れて、やっと。
□一章
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午後3時。
穏やかに過ぎてゆくこの時間。
静かな中で小鳥のさえずりが聞こえ…
ない。
もういつもの事なので慣れたが、アメリカが何の連絡も寄越さず急に来たのだ。
それに静かにしているのならいいがぎゃあぎゃあ五月蝿く、更にいつも皮肉めいたことを言ってきたり馬鹿にしてきたりする。
一体誰に似たのやら…。
そんなことを思いながらむすーっと見ていると、それに気付いたアメリカが怪訝そうな顔で、…なんだい?と聞いてきた。
「何でもねえよ。
…つかお前、そろそろ来る時は連絡ぐらい入れるようにしろよな!」
いっつもいっつも…と注意をすると、アメリカは反論したげな表情をしたが、そのままフイっとそっぽを向いた。
…珍しいな、こいつが思った事を言わないのは。
そうは思ったがあまりこの時は気にしていなかった。
だが、その後もずっとふて腐れたような顔をしているので、理由を聞いてみることにした。
「…おい、アメリカ。お前なんでさっきから怒ってんだよ。思った事言わねえのもお前らしくねえし。」
「…別に。何でもないよ。」
「何でもなくないだろ、連絡入れろっつったのがそんなに嫌だったのかよ?でもそれはお前が…」
悪いんだからな、と言おうとすると、アメリカが泣きそうな顔でバッと此方を向いた。
「俺は…っ!!……ッ」
「!!?ッアメリカ…!?」
え、ど、どうしたんだ…!!やばい。これはやばい。俺はこいつの涙にすごく弱いのだ。
「大丈夫か…!?ご、ごめんな…そんなに嫌だったのか…?」
アメリカの方へ向かい顔を覗き込もうとすると、顔を背けられた。
「…アメリカ……」
声をかけながら頭をなでると、一瞬驚いたのかビクっとして何かをぼそっと呟いた。
「 」
「何だって?悪い、聞こえなかった…」
こんなことはこれまでに無かったので、どういう反応をしていいかがわからない。
まず、連絡を入れろと言っただけなのに何故こいつが泣きそうになっているのかがわからないのだ。
いつものようにまた憎まれ口を叩いてくると思っていたのに。
アメリカのこんな泣きそうな顔を見たのは…あの、独立戦争ぶりで、嫌でも…思い出してしまうのだ。
そして、俺はまた気付かない内に何かを間違えたのかと考え込んだ。
もう、間違えたくない。
こいつとこれ以上遠くなるなんて。
絶対に嫌だ。
…今回は、手が届くのだろうか。