東方幽燈園
□始まりの眠り
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……眠い。
ただただ眠い。
まず、ここは何処だ?
こんな場所、僕は知らない。
強烈な眠気で目の前がぼやけているが、白い桜が咲き誇っており、雪でもないのに辺りが白一面の銀世界。
そんな白の中を僕は、ただ宛もなくふらふらと歩いている。
そもそも何時から歩いているんだろう?
こんなに疲れているのに、こんなに眠いのに。
ーー何処に向かっているんだ?
もう、寝ても……いいよね……?
白い地面に倒れ込み、瞼を閉じる。
ほら、すぐに意識が遠退くーー
『雪弥(ゆきや)先輩っ!!』
「っ!?」
遠退いていた意識が覚醒する。
今の声は……?
鮮烈に覚えている。
だけど思い出せない。
僕はまた立ち上がり、果てしない白い道をふらふらと歩き始めた。