東方幽燈園

□相反する者
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「……っ! がぁ……!!」

強引に意識を引っ張られ、全身に形容できない様な激痛が走る。
意識を失いそうになる程の痛みだが、何故か意識ははっきりとしていた。

それだけに尚更質が悪い。
痛みに悶え、思わずとものたうち回り、ただただ痛みに耐える。

「あぁ……! ぐっ、はぁ……はぁ……!」

少しずつだが痛みが引いていく。
それと同時に自分の立ち位置を理解していく。

……ここは何処だ?
僕は部屋で寝ていた筈だ。
周りは水。
一面に水ーーと言うか川が流れており、僕は川の真ん中の小舟の上に居た。

荒い息遣いながら、状況を確認していく。
視界がぼやけて赤い床なのかと思っていたが、よく見ると川の両岸には赤い花が沢山咲いていた。
くそ……コンタクトが死んでる

すぐに外して、周りを更に見渡す。

あれは……彼岸花だ。
辺り一面に彼岸花が咲いている。
……どことなく、嫌な予感がする。
僕の思い過ごしだといいんだけどな……









あれから霊夢がどうなったかとかを考える事数分ーー
遂に小舟の終着点が来てしまった。

何もない、誰もいない事を考えると僕の考えすぎだったようだ。
……だが、何もないなら何をすればいいのだ?

それは岸に着いて小舟から降りても同じだった。
少し歩いて周囲を見回すが同じ景色ばかり。
これは少し異常だ。
小舟で戻れたりしないものだろうか。

振り返るとすぐに理解できた。
……小舟が無くなってやがる。
先に進めっていう事だろう。

歩を進めながら思わず溜め息を吐いてしまい、最近溜め息が増えたなと思った。







歩くこと数分、気付けば周りの風景は変わり果てていた。
建物の中のようだけど、いつの間に変わったのかも気付いてない。
どうやら本格的に謎の場所に来たみたいだ。
まだ幻想郷がなんだかも理解できていないというのに。

「随分と遅かったねぇ。 道中で何かトラブったかい?」

いきなり聞こえる声に反応して辺りを見渡す。
何処に隠れている?

「警戒心丸出しだねぇ。 リラックスした方が楽だよ?」

「この状態で警戒しない方が難しい。 嫌でも警戒するわ」

「あんただろう? 新人の死神っていうのは」

「新人の……死神だあ?」

聞いた覚えも無いどころか、僕が逆に困惑だ。

「あ、あれ? お前さん、燈雪弥かい?」

「えぇ……そうですけど……」

「あぁ、よかった。 やっぱりあんたじゃないか」

僕の名前を知ってるし……僕の知らない所でどんな動きをしているんだ?
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