東方幽燈園
□蔓延る危険
1ページ/3ページ
「雪弥さんは腕に覚えはありますか?」
いきなり妖夢にそんな事を聞かれる。
「そうだね……人並みにはあるかな」
一応体を鍛えるのは好きだったから体力とかはあるほうだと思うが。
「この世界には既に知っての通りだと思いますけど、様々な種族がいます」
「人間、幽霊、死神、亡霊……」
「他に妖怪や妖精、吸血鬼や鬼といった危険な存在が多くいます」
「あぁ……それが言ってた外来人に蔓延る死の原因なのか」
「外来人の人達は何故か妖怪を見ても特に何もしないのにそれより安全な幽霊等を見ると一目散に逃げ出すそうで」
「妖怪がどんなだかは分からないけど、気持ちは分かるな。 僕らの世界には視認できる限りでは人間しかいない」
「雪弥さんは幽霊が大丈夫そうですけど」
「まぁ……生前からかなり霊感が強かったから。 気付いたら見えてたし」
「問題は妖怪です。 吸血鬼等はまず遭遇しないので問題は無いんですが、妖怪は恐らく人間より数が多いです」
「なんだって!?」
「それどころか人間は幻想郷の総人口だと三割程度です」
僕はてっきり七割〜八割くらいが人間かと……
「ところで妖怪っていうのはどんな特徴があるんだ?」
「そこが難点なんです。 妖怪には特徴という特徴がなく、外見は人間に近いんです」
「そんなじゃ分からないじゃないか。 外来人が逃げない理由が分かったよ」
「なのでまず第一として、人里以外で人を見かけたら妖怪だと思ってください」
「腕に自信があるかとか聞いてたけど、人間でもどうにかなる程度のものなのか?」
「いえ、普通は無理ですね。 弱いものならなんとかなるかもしれないですけど、大体が人外な能力を持ち合わせてます。 常人じゃ視認も出来ない様な速度で動いたり」
腕に自信ありとかそんな話が始まりじゃないだろ。
なにをどうすれば戦えるんだ。
「因みに妖夢はどうなんだい?」
「なにがです?」
「戦えるの? 剣を二振りも持ってるし」
「なんでしたら試してみます? 自信は無いですけど、私と戦えるなら充分にそこら辺の妖怪と戦えますよ」
とは言え……うーん……
十代半ば程度の少女と戦うのはちょっと気が引けるなぁ。
「それに、雪弥さんの実力は私も気になります」
「……分かったよ。 僕の得物はこの大鎌になるけどいいね」
「はい。 お互い、正々堂々戦いましょう!」
「そもそも言わせてもらうとこんなでかい鎌を使った事がないから最初は慣らしでいくよ」
こうして僕と妖夢は現世に行く前に冥界で腕比べをする事になった。