東方幽燈園

□真実・壱
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夢の世界・???





・・・・・・ここは何処だ?
僕はついさっきまで霊夢や魔理沙と一緒に居て・・・・・・
それにここ、あの夢の中のだよな・・・

「はぁい、燈くん。 二日ぶりね」

「八雲先生・・・! いや、先生じゃなかったな、八雲」

「えぇ、貴方は教え子には違いないけど先生じゃないわ。 そして、今や生徒でもない」

「・・・何の用で?」

警戒はするが、夢の中に武器は持ち込めない。
武器ありでも戦いになるか怪しいのに、丸腰じゃほぼ意味が無い。

「そう警戒しないの。 ・・・・・・この前みたいに痛い思いをするだけよ?」

「なに?」

痛い思い?
確か前に会った後・・・
んっ? 僕はいつ八雲に会ったんだ?

「覚えてないわよね。 あの時、貴方はいい声を聞かせてくれたわ」

なんだこの気持ち悪い感じは!?
全然覚えていないのに、体が震える。

「確か貴方はあの後に死神になったのよね」

死神になった?
あの小舟で目を覚ました時?
っつう! また頭痛だ。
最近何かを思い出しかける度に激しい頭痛がする。

「あら、体調が悪そうね。 大丈夫?」

「お前に心配されるまでもない・・・!」

駄目だ、どんどん頭痛が強くなる。
中から殴られている様な痛みだ・・・!

「ゆき、や・・・!?」

「!?」

なんだ!?
いきなり霊夢の声が聞こえた。
この消え入りそうな霊夢、一度だけ聞き覚えが・・・!

いきなり記憶が頭の中を駆け巡り、フラッシュバックを起こす。

「ーーそうだ、僕はーー」

全て思い出した。
僕はここで霊夢を逃がしたんだ。
最初、僕は亡霊以上に不確かな存在だった。
亡霊でありながら体を持ち、人間でありながら体が死んでいた。

そしてあの後、この場所でーー

「僕は、この場所でお前に殺されたーー!」

「そうして燈雪弥は完全な亡霊になった。 よく思い出せたわね」

自分の死体を思い出して吐き気を催す。

「よくまた顔を出せたな、お前・・・!」

「改めて挨拶と思って。 ようこそ幻想郷へ、死神であり亡霊ーー死霊の燈雪弥」

「何となく、理解したよ。 お前が裏から糸を引いて死神にさせたんだな」

「えぇ。 ついでに言えば幽々子もその一人よ」

「なんだと!?」

その話は聞きたくなかったな。
まさか幽々子さんもそっち側とは・・・

「お前の目的はなんだ。 僕をどうしたいんだ?」

「私は貴方に幻想郷を救って欲しいだけよ」

「・・・はぁ?」

思わず唖然とする。
幻想郷を救う? 外来から来たばっかの僕が?

「貴方は幻想郷の異変をご存知かしら?」

「外の世界から大量に物が幻想入りしてるって話か? てっきり八雲が主犯かと思ったが」

「私は幻想郷をわざわざ危険に晒したりしないわ。 今回の件に大きく関わっているのは貴方よ」

「・・・僕?」

なにをいきなり。
僕が幻想郷に来たのはつい最近の筈だが。

「貴方が幻想郷に来てから異変が起きているのよ。 私でも現状を把握しきれていないわ」

「僕が来てから? だがあの偽ジェイソンが現れたのは三週間程前だろ」

「忘れたの? 貴方は1ヶ月もの間ずっと寝ていたのよ」

「・・・僕が寝ている間にどんどん蔓延していったのか。 だが、僕に何をしろと言うんだ。 第一にお前の事は信用していない。 なんか差し金を送るぐらいだしな」

「そうでしょうね、私も信用されていると思っていないわ。 だから、戦う力を貴方に授けるわ」

「なに?」

「あれは言わば私からの試練。 倒してみせなさい」

僕が問いただす前に八雲の姿は消え、僕一人がこの世界に取り残された。
戦う力? 一体何をする気だ?

辺りを再び警戒し、何かが起きるのを待つ。

「貴方はすぐに周りを警戒するわね。 警戒しっぱなし疲れるわよ」

「警戒するに値する時しかしてないつもりだ」

「教えてあげましょう。 この世界には幾ら警戒しても意味のない事の方が多いの」

「お前みたいな奴の事か」

「ふふふっ、そうとも言うわ。 少し遅れたけど私からの誕生日プレゼントよ、大切に使いなさい」

「誕生日プレゼント!? おい、ちょっと待て!」

僕の叫びも虚しく、八雲は今度こそ消えた。
何となく分かる、奴が此処にいないのが。
そして、僕の意識も遠のいていった。
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