東方幽燈園

□赤い館の大異変
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特訓の翌日、僕等三人は紅魔館に向かい空を飛んでいた。
唯でさえ見晴らしの悪かった赤い空が更に赤くなっていた。
ここまでくると紅色に近い。

「紅魔館ってのは吸血鬼の館なんだよな。 なんか門番とかいるのか?」

「居るには居るな。 あんまり働いているのは見た事ないけどな」

働いてないのかよ、門番。
それだと居る意味ないわな。

「門番は本当に名ばかりよ。 だって寝ていたりするくらいだもの」

「よくクビにならないな。 僕だったら許せないよ」

いつもの森を越えるとそこには湖が広がっていた。
・・・そうか、吸血鬼ってのは水の上を越えれないからな。

「あれよ。 あの洋館が紅魔館」

「うわ、すっげぇ」

名の通り赤い洋館だ。
こころなしか周りの背景と比べてかなり浮いている。
屋上の時計塔がよく目立つ。

紅魔館があと200mくらいという所で弾幕がこちらに飛んできた。

『!!』

僕等は別々の方向にばらけ、僕は一足先に紅魔館の前に着地した。
すると一つの殺気が近付いてきたのに気付いた。

手刀を腕で防ぎ、頭を後ろに下げて上段蹴りを避けてバック転をして距離を取る。

「あっれ・・・こういうのってスペルカードで勝負をつけんじゃなかったのか?」

霊夢と魔理沙も近くに着地し、殺気の主を見た。

「門番ってのは働いてなかったんじゃないのか?」

「そもそもいきなり襲ってきたりはしないわ。 普通なら」

緑色のチャイナ服を着た赤髪の女性か・・・
外見通り拳法を使いそうだな。

「現在、紅魔館には入れません。 お立ち引き願います」

「そういう訳にはいかないぜ。 この霧を止めなきゃならないからな」

「どうしても、と言うのなら私を倒しなさい!」

「・・・分かったわ。 雪弥、あんたに任せたわ!」

「えっ、僕か?」

「見たでしょ、あいつは弾幕勝負より普通に戦う方が強いのよ。 ・・・多分容赦無く戦ってくる。 私や魔理沙じゃ限界がある」

「・・・何の為の特訓だったんだか。 まぁいいさ、僕も楽だ」

僕が構えると門番は驚いた様な顔をして同じく構えを取った。
まさかこんな所で使い手と手合わせするとはな。

震脚で気合いを入れてから僕は門番に走り出す。
正拳を繰り出すと手で抑えられ、そのまま勢いを利用されて投げ倒された。

倒れると同時に足祓いをして手を離すのを強要させてから横に転がって即座に立ち上がる。
と、目の前には既に足祓いを避けて着地していた門番が掌底を繰り出していた。
これは不味いーー!

体が吹き飛び、門の横のレンガ壁にぶつかるとそのレンガ壁を崩しながら後ろに倒れた。

「雪弥っ!?」

「おいおい、いいのか? 門壊れて入れる様になっちまったぜ?」

勢いを付けて立ち上がり、親指で壊れたレンガ壁をクイクイッと指す。
打点をずらして後ろに自分から飛んだお陰で見た目の割にダメージが安くて良かった。

「・・・中々の達人とお見受けします。 これは油断出来ませんね」

「同じくだ、加減は失礼に値するな。 霊夢、魔理沙! 先に行ってくれ、あとから追う」

「分かったわ。 ・・・負けたら承知しないわよ 」

「あぁ、任せておけ。 やってみせるさ 」

二人が横を過ぎていったのを確認して僕は再び門番に向き直した。
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