東方幽燈園

□始まりの終わり
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紅魔館の壁を突き破って暴走状態のフランが外に解き放たれる。
この魔物が幻想郷に放たれれば甚大な被害が出るのは目に見えていた。

ーー特に人里は壊滅状態になるのは分かりきった事だ。
その人里を背に、七人の者が迎え撃つ様に横並びになっていた。
中心には、雪弥とレミリア。

「・・・すまない、皆。 僕の我侭を聞いてくれて」

「謝るくらいなら戦って示しなさい。 私達の力を吸い取っているんだから」

ーー雪弥の種族は死霊である。
死霊の力の源は気力でも妖力でもなければ体力でも無かった。

あらゆる生物の生きる力を自らの力にするのだった。

勿論霊夢や魔理沙、咲夜は人間の為に寿命が短く大した力を分ける事が出来ない。
しかし、妖怪、魔法使い、吸血鬼は遥かに長寿である為に生きる力を分けても大した影響はないし、膨大な力を分ける事が出来た。

「あぁ、だがお陰でーーこれまでない程に体の調子が良い」

雪弥は咲夜が取ってきた大鎌を受け取り、片手で一振りした後にもう片手のロングライフルをフランに向けた。

「前衛は私と雪弥、異論は?」

「勿論無いよ、お嬢様。 準前衛に美鈴と魔理沙。 異論はないね?」

「やりきって見せますとも!」

「無い! 中衛は霊夢に咲夜、しっかりと援護頼むぜ!」

「分かってるわよ、全く」

「パチュリー様、後衛をお願い致します」

「承知してるわ」

フランが動き、巨大な弾幕を放つと七人は分散して左右から雪弥とレミリアがフランに向かった。

「レミリア! 前衛だからって深追いしすぎるなよ!」

「貴方の方こそ!」

雪弥の鎌を上昇して避けると同時に蹴りを放つーー瞬間にレミリアの飛び蹴りが当たりフランの体が吹き飛んだ。

すぐに体制を立て直してレミリアに殴りかかると横から雪弥にその腕を抑えられて流れる様に顎、鳩尾、脛に連撃を加えて鉄山靠で体を吹き飛ばした。

「美鈴!」

「はいっ!」

フランが吹き飛ばされた方向に先回りして掌底を繰り出して追撃を加える。

「失礼します、妹様」

時間を止めた咲夜が周りにナイフを繰り出してそれを包囲していた。

「火符『アグニシャイン』」

そこにパチュリーのスペルカードが当たり、フランの体が地面に落ちた。

「これで終わったら拍子抜けなんだけどな」

「それは無いわね、私の妹よ」

「そうか・・・」

地上から四つの弾幕が別方向に飛んでいき、それぞれ回避する。
そこには四人のフランがいた。

「はっ!? 分身した!?」

「そうよ、だから前衛とかがいるの!」

「なんていう理由だ。 極限『ゼノン・アーツ』」

雪弥は苦笑してからレミリアに続いてフランに向かっていった。

レミリアの初撃を躱すと四人が一斉に飛び掛る。

「星符『ノンディレクショナルレーザー』」

レミリアの周囲を囲う様に地上からレーザーが飛び出して妨害をする。
その間に雪弥が高速で二人のフランの首を掴んで離れていく。

「お前らの相手は僕だ・・・!」

力ずくで二人をを上にぶん投げてロングライフルを向けた。

雪弥が放った二発の高速弾、威力も申し分なく当たればよい方向に持っていけると確信していた。
だが、そう上手くはいかなかった。

なんと目に見えない程の速度の空気を拳の空気圧で相殺したのだ。

「んなっ・・・!」

雪弥は仰天した。
それはそうだ、まさか見切られるなんて思いもしなかったのだから。

「霊夢に美鈴、こいつらに三人で勝てると思うか?」

「五分五分ね」

「チームワークを発揮できるかが勝負の鍵かと」

雪弥は少し笑ったあとに叫んだ。

「レミリアァ! こっちは僕等三人が引き受けた! そっちは四人に任せたぞ!!」
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