東方幽燈園

□僕は死神亡霊外来人
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〜冥界〜









……っくそ、腕がぱんぱんだ。
結局漕ぎっぱなしだ。

「漕ぐの上手いじゃないか。 これならすぐに船頭になれるよ」

「そりゃどうもです。 なる気はありませんけどね」

「さて、あとは白玉楼に向かうんだね。 道はーー」

「分かりません。 一回辿り着いたのは奇跡みたいなものですから」

「あたしも最近は行ってないから自信は無いからねぇ……自分を信じて進みなよ! あたしはお先に戻らせてもらうから」

「ちょ、なんでですか!?」

「あたしにも仕事があるからねぇ。 帰りがあるから漕いでなかったってわけ。 じゃあ、頑張りなよー!」

「あっ、逃げ足はやっ!」

小町さん……いいや、あんなのにさん付けしてやらん。
小町はいざと言う時にいなくなった。

こうして再びここに一人でポツンと立つ事になったわけだ。
今回は前よりましだが。

そして、まえより余裕が出来た為にある事に気が付いた。

「……人魂?」

意外と人魂がそこら辺にいるのだ。
人魂に道案内とか頼めたりしないかな?
……なーんて無理か。 意識があるのかも分からない。

「ん?」

気付かないうちにすぐ横にまで人魂が来ていた。
はっきりと冷気を感じる。
……だからここら辺は寒いのか。

人魂は言葉を発しはしないが、多分僕を見ていた。

「……なんだい、全く」

人魂は僕の前をふよふよと浮遊すると、恐らくだが身を反転させて離れていった。
……なんなんだ一体?

と思ったらまた身を多分反転させてこっちを見た?

「えーっと……付いてこいって事?」

僕の言葉に反応するように身を上下に揺らす。
多分、頷いているんだろう。
どうせ宛も無いんだ。 だったら付いていこう。

僕はその人魂の後ろを大鎌を携えながら歩いていった。
……なんかこれ、中々にヤバイっていうかシュールな絵面だな。
自分で想像して、少し笑ってしまった。
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