東方幽燈園

□夜を迎えに
2ページ/5ページ

幻想郷・人里





私達が着いた時、人里はなんだかざわついていた。

「ほら、お前達が居なくなったから不安で騒いでるんだ。 ちゃんと言う事あんの分かるよな?」

兄妹がしっかりと頷いたのを確認して雪弥さんは妹を肩から降ろして二人の背を押した。

「あぁ!! 一体何処に行っていたんだい!」

「ごめんなさいお母さん!」

「俺達、勝手に森に入っちゃったんだ! 本当にごめんなさい!」

「あんた達……本当に心配したんだから!」

『ごめんなさい!』

お母さんは二人を抱き寄せた。

『……いいなぁ』

『えっ』

雪弥さんと二人で二回も言葉が被る。

「ふっ……ははっ……あはははははっ!」

「ふふっ……なんで笑い始めるんですか……」

雪弥さんは私の頭を撫でてきた。
優しく、優しく……

「貴女達が子供達を守ってくれたのか?」

いきなり声を掛けられてお互いに動きが止まる。
声の主は五〜六十くらいの男の方だった。

「ははっ、そんな大した事では……」

「本当にありがとうございますっ!」

バッと頭を下げる人を見て雪弥さんの顔がさっと真面目な顔になる。

「ここ最近、なにかあったんですか?」

「えっ?」

「貴方の頭の下げ方から、尋常じゃないなにかを感じた。 もしかして最近、子供が居なくなったりしてませんか?」

「っ!!」

それってもしかして……

「……なるほど、これは由々しき事態だ。 なにか出来る事があるなら、僕が協力します」

「そんな……見ず知らずの方にそんな事は……」

「おじさん。 僕は今行くあてが無くてですね、もしなにか空き家があれば借りたいのですが……いいですか?」

「あ……ありがとう、ございます……!」

「雪弥さん……」

「これが僕なんだよ、妖夢。 ……ところで妖夢、結構白玉楼を留守にしているけど大丈夫?」

「あぁ!? そろそろ夕飯の時間だ! すいません、雪弥さん! 私は帰らせてもらいます!」

「あぁ。 帰り道に気を付けてね」

私は一足先に白玉楼に戻ります。
ちらっと見ると雪弥さんは色々な人に囲まれていた。
……雪弥さんは人を惹き付ける気がする。
私も、人里の人々ももう惹かれている。

不思議な人だなぁ
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ