東方幽燈園

□異変
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「結局目星のついた犯人ってのは誰なのよ。 人間?」

「人間かは知らん。 まあ、これは明日起きたら話そうか」

うーん……もやもやが残る……

「ほれ、まさかその服装で寝るわけじゃあるまいし」

雪弥は私に浴衣を投げてきた。

「頼むから着替えてくれ。 そっちの方が暖かいし間違っても見えなくなるから」

「分かったわよ。 そう言うあんたは着替えないの?」

「ズボンだしな。 それにサイズの合う服は置いてなかった」

「あんたのサイズなんて探す方が面倒よ」

あんなモデル体型の奴なんて人里にいた覚えがあまりない。
まずいたら目立つから分かりやすい。

「風邪引かないように気を付けて寝ろよ」

「あんたの方が気を付けなさいよ。 明日になって風邪を引いていても私は知らないわよ」

「分かったって。 ちょっと最後にまだ雪降ってるかだけ見てくる」

雪弥は蝋燭を置いて外に出ていった。
多分、私に着替える時間を与える為なのもあるだろう。

私は蝋燭の近くで着替えを始める。
あー蝋燭の火が暖かいわ〜

……そう言えば雪弥は犯人の目星が何となく付いたらしいけど、私は全く分かってない。
戻ってから片付けをしてたって言うくせに、何処で目星をつけたのかしら?

「……んっ?」

今、影が動いた気が……
まさか雪弥の奴、覗いてないわよね!?
私は音を立てない様にそーっと襖の裏を見に行く。

「雪弥! 見損なったわ……よ……?」

そこには明らかに雪弥より筋肉質の白い顔の変態がいた。

「うわ!! 変態!?」

「あー、やっぱり出たな。 待ってたぞ、くそ野郎が」

白い変態は手に錆びた鉈を持っていた。
これが犯人ってわけね。

「霊夢が一人になるのを待っていたんだろ。 若い男性を避けて、分かりやすいな」

変態は言葉を発しようとしない。
逆にそれが変態さを加速させる。

「どうしてこの変態が来るの分かったのよ。 なにか手掛かりでもあった?」

「僕と霊夢がここに揃ってるから……だ!」

雪弥は変態の鉈を避けるとその腕を掴んで外に投げ飛ばした。
……あれ?
自分よりでかい相手を投げ飛ばした?

「霊夢。 多分あれは僕らが朝に話していた情報提供者だ」

「嘘ぉ!? いやだって体つき全然違うし!」

こんなムキムキな人だったらすぐに分かる。
これはまさか……
マジックアイテムだとしたら霖之助さん、何をしてくれてるのよ。

「勝手に囮にして悪かった。 代わりと言ってはなんだが、見物してくれていて構わない」

「一人で大丈夫なの? 本当にマジックアイテムならそこらの妖怪より手強いかもーー」

そこまで言ってようやく気付いた。
雪弥の表情が嬉々としている。
その雪弥の表情を見てゾクッとした。

次の瞬間には雪弥の姿は変態へと向かっていた。

「うらあっ!」

雪弥の拳が変態の顔にクリティカルヒットする。
が、変態は怯まずに鉈を降り下ろした。

と思えば雪弥に腕を流されて鉈が弾き飛ばされた。
そして懐に入り込みーー

「はあっ!!」

鉄山靠で変態を吹き飛ばした。
なんでそんな技を使えるのだろう。
って言うかどうやって止める気なのよ!

「まだまだぁ……!?」

あの馬鹿、雪で足滑らせた。

変態の蹴りを腕で防いだ雪弥は家の裏にぶっ飛んでいった。
……あの変態も相当だった。
蹴りで普通あんな飛ばないわよ。

やっぱり私もやらないとーー

「弱いわ!」

「えぇ!?」

普通に雪弥が家の裏から戻ってきて飛び蹴りを放っていた。
あいつも大概かもしれない。
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