東方幽燈園

□平和
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トランクス一枚で脱衣所から出て二階にズボンを取りに行き、ズボンを履いてホルスターを太腿に付ける。
ワイシャツは・・・一階か。
僕が下に降りていくと魔理沙が驚いた表情をしていた。

「おま、どんな格好で出てきてんだ! ビックリしたぜ!」

「・・・あぁ、すまない。 気にしなさ過ぎた」

台所に入っていき、竈の火を着けてから椅子に座り込む。
髪を結ぼうとするがどう結ぶか迷い手が止まる。
うーん・・・

「魔理沙、髪を結んでくれ」

「髪? どう結ぶんだ?」

「任せる。 相当変じゃない限りは大丈夫だから」

「つってもあまりそういうのは分からないんだよな・・・」

魔理沙が僕の髪を触れるとスルスルと手櫛をし始めた。

「髪サラサラだなー 少し羨ましいぜ」

「はははっ、僕は魔理沙の髪が羨ましいよ」

「んっ? どうしてだ?」

「髪の色だよ。 どうしても灰色って埃とか炭とか汚い物を連想するだろ?」

「分からなくはないけどなー けど、私は雪弥の髪色好きだぜ? 雪弥が私みたいな髪の色なんて想像しにくいぜ」

魔理沙が手を動かして僕の髪を結び始める。

確かに、僕の髪色が金とかだと似合わないかもしれない。
結局のところ、人に似合っているかが重要なわけだ。

「ほら、出来たぜ」

「まさかのサイドポニー!?」

少し予想外だった。
ポニーテールとかを予想していたが。

「魔理沙、君はサイドポニーが幼い印象のある髪型って知っているかい?」

「確かにそう言われると分かるな。 んじゃ変えるか?」

「・・・いや、いいよ。 折角やってもらったんだしね」

僕が笑いながら魔理沙に話すと魔理沙はサッと顔を逸らした。

「・・・いや、すまん。 笑った顔がマジで女の子にしか見えなくて」

「そんなに!?」

僕は台所に向かい、鏡で自分を見る。
うっわ、自分で言うのもなんだけど女の子だな。

竈の火を弱めて皿に白米を盛り、温めたカレールーを加えてカレーライスの完成。
更にもう一つの鍋に入ったオニオンスープをよそって昼飯の完成。

「はい。 火傷しないように気を付けて」

「旨そぉ! いただきまーす!」

「いただきます」

しかし作り置きし過ぎたか?
竈は四つあったがカレー×2、オニオンスープ、味噌汁で全て埋めてしまっている。
少し使い方を考えるか竈の増設を考えなきゃな・・・

「なぁ雪弥」

カレーに息を吹きかけて冷ましていると声を掛けられた。

「なに?」

「見てて思ったんだがなんでカレーの鍋が二つあるんだ?」

「そこに気づくとはね。 魔理沙が食べているカレーは普通のカレーだけど、僕のこれは少し特別製なんだ」

「えー、なんだそれ、ずるいぜ」

「果たして本当にそうだか」

カレーを口に入れ、その辛さに痺れながら食べるペースを早めていく。

「ふう・・・ ご馳走様でした、運動した後は食が進むな」

オニオンスープをゆっくり飲みながら窓の外を見る。
どうも季節の移り変わりが近いらしく、少し暖かくなってきている。
偽ジェイソンの現れた日の雪が冬の最後の抵抗だったのだろうか。

「ご馳走様! 今回も美味かったぜ」

「それは良かった。 食べ終わった食器は台所に置いといてくれたら洗っておくよ。 僕はこれから出掛けるから」

「今更だけどさ、いつもご馳走になってるけどいいのか? 雪弥も生活とかあるだろ?」

「心配すんな。 元居た世界でも君らみたいのがいたから量を作り過ぎる癖がついていてね。 むしろ来てくれないと余る」

「なんだそりゃ」

魔理沙は笑いだし、僕も当然の反応だと思い苦笑した。
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