Novel
□それでもいい
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朝起きると伊月が居なかった。てかバイト終わって帰っても居なかった。きっとウサぴょんと飲んでそのまま寝ちゃったんだろ。伊月が言うウサぴょんの名前は良く聞いていた。何でも幼馴染らしく、伊月の知り合いの中でも体の関係の無い清らかな付き合いらしい。
「メールぐらい入れろよ…」
独り言を言って何だか虚しくなったので、支度を済ませてさっさと学校へ行く事にした。
今日はあいにくの雨だ。自然と気分も憂鬱になるもんだ。
家を出てから少しして良く知る2人と会った。千景と碧人だ。
「あ、由岐くんおはよー♪」
「何しけた面してんだよ!さてはまた浮気されたな?」
「今日は帰って来なかったよ」
「まじ?!泊まりかよ!」
「由岐くん大丈夫?元気ないけど」
「大丈夫大丈夫。雨が嫌なだけだから」
「大丈夫じゃねぇだろ!そんな由岐に朗報だ♪今日飲み会やるぞー♪」
「へー、どこで?」
「駅前の居酒屋さんだよ。由岐くんも来れる??」
「予定ないから行けるけど、昨日遅番だったから早く帰りたい」
「あ?じゃあ寝てねぇの?授業中寝るんじゃね?」
「怪しいかも。もう既に眠いし」
「それならお家で休んでた方がいいよ!倒れちゃうよ?」
「何かさ、本当優しいよな碧人って。何で千景と一緒にいるの?もったいない」
「そんなけ嫌味が言えれば大丈夫だよなぁ?由岐さんよ」
「何でって、千景って面白いよ?」
「お前も真面目に答えなくていいっての」
「あー、何か2人に会ったら元気出たー。今日も頑張ろー」
「すっげぇ棒読みだな!」
なんだかんだ2人にはお世話になってるし、いい人たちだと思う。だからこうして仲良くしてるんだけどね。
千景は口は悪いけど、面白いってのは俺も思ってる事だ。そして面倒見がいいのかここぞと言う時に優しい一面もあるんだ。
碧人は見た目からして側にいて貰いたい人。物腰も柔らかくてとにかく話しやすい。何事にも真剣になって取り組む性格らしく、まず悩み事があったら碧人に聞いてもらうといい。