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□彼女のギャップ
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「ん…んんっ…」
小さな呻き声が聞こえ、彼女が目を覚ましたことが分かった。
読んでいた本を閉じて立ち上がり、ベッドの側まで行くと、意識の回復した彼女はきょろきょろと部屋を見回していた。
「初めまして」
横たわる彼女を上から覗きこみ、そう声をかけると、案の定、彼女はパチパチと目を瞬かせていた。
「…あなたが、私を助けて…くれたの…?」
「…うーん…。助けたって訳でもないけれど…。運んだのは僕だよ。そして、ここはシェアハウス。僕以外にも住んでる人はいるよ」
「シェア…ハウ…ほかのひと……あの、あなたのお名前は…」
「…カネキ」
「カネキ…さん」
「…金木、研だよ」
「そう…ですか」
「君の名前は?」
「私は…三河島美鷹-ミカシマミタカ-です…」
随分仰々しい名前だなと思った。
それに、見た目はうさぎみたいに幼くてふわふわしたような面立ちなのに、名前が鷹とは…
「おかしな名前ですよね…」
暗い顔をして彼女は言った。
「そうかな…。僕はすてきだと思うよ。それに、君は名字にも名前にも同じ文字が続いてるから…ミミ、なんてどうだい?」
うん、だいぶうさぎらしくなった。
「…ありがとう、ございます…すごく、かわいい…」
少し頬を染めて、そして僕は初めて彼女の笑顔を見れた。