みじかいの
□聖夜と詩人と鬼と
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夜、ほとんどの人が寝てしまった頃。
僕はシューベルトさんの部屋に向かった。彼の部屋には借り物らしいがピアノがあるからね。
桜は少し用事を片付けてからこちらに向かうと言っていたので先に行くことにした。
コンコンとドアをノックする。
どうぞと中から声が聞こえたので失礼しますと言って中に入る。
さすが、歌曲王。
楽譜が沢山置いてある。
この中から見つけてするのもいいかもしれないな…。
「おや、お1人ですか?」
「桜は用事があるようで…あとから来ると言っていました。」
「そうですか…。」
「はい。あ、そうだ。ある程度決めましょう。候補を絞るだけでも。」
「えぇ、そうですね。」
僕は持ってきた楽譜をシューベルトさんに見せた。
きっと歌いやすいであろう賛美歌を出来るだけ選んできたつもりだ。
しばらくすると、予定が終わったらしい桜が部屋に入ってきた。
その頃にはある程度、曲を絞れていたからシューベルトさんと駄弁っていた頃だった。
絞った曲の中でどれが一番弾きやすいかを、選んでもらったら「荒野の果てに」という曲が楽だと言っていたのでそれをする事になった。
桜がピアノを調整しながら私とシューベルトさんは発声練習をし始めていた。
クリスマスまであと少しだ。
頑張らないと。