ながいの
□来世で―― [ 1 ]
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「貴様!何をした!!」
「にゃ!?僕は君達をここへ呼んだだけにゃ!!」
「僕達を元の世界へ戻せ!!」
「それは…うにゃ!!」
「なっ!」
何故、こんな事になってしまったんだ…。
僕等は、只帰っていただけだろう?
「ご主人!商談がうまくいってよかったですね!!」
「あぁ、本当に良かった。これで上手くいく。」
商談の帰り道、夜遅くなってしまったがあちらも満足のいく結果を出せそうだからということで上手く行ってくれて本当に良かった。
「にゃーお」
「…猫?」
「可愛い黒猫さんですねぇ。リボンつけてる…飼い猫かなぁ?」
「そうかもしれないね。交番に連絡入れとこうか…。」
「そうですね、ご主人!猫さーん、こっちにおいでー?」
「にゃーん」
桜が呼ぶと寄ってきた猫。随分と人懐っこい猫だ。大分飼い慣らされているのだろう。
「にゃーん」
寄ってきた猫、それがひと鳴きすると足元から引きずり込まれる感覚。
歪む景色。
チカチカする目の前。
桜を呼ぼうとしたが声が出ず。
桜に向かって咄嗟に伸ばした手も掴めそうで掴めないまま空を舞った。
そして、
意識が、飛ぶ。
『――や、来世のわっちはわっちではない。其れでも大丈夫なのか?』
『大丈夫だよ。お前さんであることに変わりはない。俺の方が確実に覚えてないんだ。お前さんの方こそ、大丈夫なのか?』
『大丈夫じゃ。わっち等先祖返りは同じような運命を辿る。――が覚えていなくても大丈夫じゃ。』
『そうか。それならいいんだ。それじゃあ、』
『『来世こそは――あおう…。』』
「――っ!」
「にゃ!?」
「貴様!――」