夢小説(N長編A)
□帰宅
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2日目も盛り上がったコンサートを終え、俺は自宅マンションへと向かう車の中。
運転するマネージャーには届かない声量だけど、つい独り言を言う。
「あー、また……くそ」
いつもなら気にとめないけど、赤信号に捕まってばかりの、混雑する都内の道に少しイライラする。
優芽のせいだ。
今日事務所に呼び出されていたのは、十中八九俺との交際報道がされたから。
これからの活動の方向性でも話し合ったんだろう。
俺が事務所の社長と密かに会って、打ち合わせしていたことも聞いたか……?
そうと知っていたから、事務所の用事が終わったら電話をくれって言ったのに。
結局、俺に電話が掛かってくることはなかった。
「怒ったかな、優芽……怒ってんだろうな〜……」
優芽はああ見えて芯が強い。
自分が納得した選択しかしないし、長年続けている仕事にもプライドを持っている。
だから自分の知らないところで話がまとまってたっていうのは……嫌がりますよね、きっと。
ご機嫌損ねたかなぁ、なんて考えながら想像するのは、拗ねた瞳やへの字の唇でさえ愛らしい優芽の顔。
早く帰って、直接話さないとね。