夢小説(N長編)

□はじまり
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はじまりは、映画の共演だった。


「おはよ、優芽ちゃん」
あくびをしながらゆっくりとスタジオに入ってくる二宮さん。

「二宮さん。おはようございます」
撮影も終盤に入り、朝の挨拶ももう幾度となく繰り返してきた。


「ニノでいいですって。それか、カズくんとか」
「いまさら呼び方変えるの難しくって」
二人で苦笑いし合うのも、何度目だろう。
同い年だけど、芸歴はもちろん二宮さんの方が長かったから、顔合わせの時から自然に二宮さんと呼んでいたのだけど。
撮影が進み、距離が少し縮まった今、二宮さんは呼び方に不満があるみたい。

「今日はシーン72からだって。優芽ちゃんの小道具が来たら撮影開始。」

「ありがと。今日もよろしくね」

「こちらこそ。今日はキスシーンまで撮影進むように頑張りますよ」
上機嫌で言いながら、二宮さんはセットのソファにスタンバイしに行った。
キスシーンって……直前まであんまり意識したくなかったな。
苦笑いしながら、私も小道具を受け取り、撮影が始まる。
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