夢小説(N長編)

□CALL
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不安になって名前を呼ぶと、電話の向こうからふっと笑う気配がした。

『相葉さん、喜んでましたよ。今度またゆっくり嵐と遊びましょ、だって。』

良かった。
いつものカズくんだ。さっきの違和感は気のせいだったみたい。



『もう家着きました?』

ふいにカズくんが尋ねる。電話越しにざわざわした空気が伝わってきて、まだカズくんは仕事中なのだろうと分かる。

「あと数分で着きます。休憩中に電話してくれたんだね、ありがとう」

それじゃあまた、と続けようとすると、カズくんはそれを遮って言う。


『女の子の夜道でしょ。優芽の家に着くまで電話繋いでて』


確かに歩き慣れた帰り道だけど、電話越しでも誰かと繋がっていると心強い。
少し辛口な口調での雑談が続くけど、優しさが伝わってくるよ。


「カズくんかっこいいね」

『え?今さら気付いたの?』


冗談を言い合う、駆け引きをしあっているような会話がなぜか心地よい。
マンションまでの道のりを、いつもよりゆっくり夜風を感じながら歩いた。
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