夢小説(N長編)
□キスシーン
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「次のオフですか?えっと、映画のクランクアップと写真集撮影の間に2日くらいあるはずなんですけど……」
珍しく相葉さんからの着信があり、私は少し離れた場所で通話をしている。
カズくんの視線を痛いくらい背中に受けながら。
カズくんの様子は、 朝からおかしい。
昨日までは撮影中も休憩中もずっと一緒に過ごしていたのに、今日は離れたところに一人でいる。
今日の撮影はキスシーンがあるから、空気作りかな?
それともまた、カズくんなりの考えがあって……?
数日前に大野さんと話してからカズくんを変に意識してしまう。できれば今日はいつも通り、軽口を言ってふざけながら撮影に入りたかった。
……仕方ない。自分から動かないと。
「カーズくん。次のシーン、よろしくね。って言うのも変だけど」
他の出演者のお芝居中。邪魔にならないように撮影隊とは少し離れた場所に設けられた待機場所に二人。
「やっと監督の納得いく夕焼け空が撮れそうね」
と、カズくん。機嫌直ったかな。
「そうだね!タイミング逃せないから、NG出さないようにしなくちゃ」
夕焼け空は一瞬で薄暗い夜の青色へと変わってしまう。役者として、監督のこだわるシーンの邪魔はできない。
夕陽を眩しそうに見ていたカズくんが私へと視線を戻した。
その表情は、いつもの飄々としたカズくんではなくて、どこか熱を帯びている。
「じゃあさ、今のうちにリハしとく?」
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