夢小説(N長編)

□クランクアップ
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撮影現場から移動し、馴染みの居酒屋での打ち上げが始まった。

会場を一回りし全員と乾杯をして席に戻ると、同じく挨拶回りを終えたカズくんが隣に座った。

「カズくん。乾杯」
「お疲れさま、優芽」

最後に二人だけで静かにグラスを合わせる。

「なんか寂しいなー、カズくんとの撮影が終わっちゃった。」

本心から言ったのに、カズくんは笑っていた。

「まだまだ、宣伝活動も舞台挨拶も残ってるでしょ」

「そうだけど……カズくんの宗太郎には会えない」

「アナタ、宗太郎のことが好きだったの?!」

急に大きな声を出すから、驚いてカズくんを振り返って見る人もいる。
当のカズくんは、あの時の表情はそういうこと?!なんて、よく分からないけどブツブツ言っている。

「宗太郎、かっこよかったよー!仕事熱心だし、いつも南を守ってくれるし、一直線!って感じが。」

カズくんの演技を思い出しながらうっとり言うと、不満気な反論が返ってきた。

「俺だって仕事熱心だし優芽の面倒見てるでしょ」

「そう……かも?でもカズくんと宗太郎は違う。カズくんは何考えてるのか分からない時がある」

「当たり前でしょーが。それが普通なの!所詮架空のキャラクターなのよ、宗太郎は」

「いやそれをカズくんが言っちゃダメでしょ」



目の前で私とカズくんの言い合いを見ていた監督が言う。

「二宮くんと優芽ちゃんって、付き合ってんの?」
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