夢小説(N長編A)
□夜のデート
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「そうかな。相葉さんが私のこと好きだなんて、感じられないけど」
恋愛対象かはわからないけれど、相葉さんからの好意は確かに感じていた。
それを誤魔化すようにあえて笑って言う。
一瞬の沈黙の後、また車を走らせるカズくん。
「女々しいよね俺。イヤ?」
「ううん……」
考えながら私も窓の外を見た。
女々しいというか、イメージとは反して、恋愛に対してカズくんは決してドライではないと思う。
「カズくんが私に対して、何度か怒ってたのは知ってる。
でも、私に好意がある男の人と一切喋らない、なんて約束は今後もできないと思うし……」
私は一般人の女の子がするように、恋愛に一番のエネルギーを使って、カズくんを何よりも大切にしてあげることは出来ないかもしれない。
そんな気持ちを知ってか知らずか、カズくんは前を見たまま黙っている。
「でも、それでも私はカズくんが好きだよ」
気付いてる?
相手を繋ぎとめておきたいと思ってるのは、カズくんだけじゃないってこと。
珍しくスキンシップに逃げずに口元の笑みを噛み殺しているカズくんの横顔を、私は満足げに眺めた。