咲いた一輪の薔薇

□中学一年編
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家庭教師は赤ん坊


輪廻転生という言葉は知っていた。
平行世界という言葉も知っていた。
ただ、自分はそんなの体験しないと思っていたから。


あの日、
あの時、
あの場所で、君に出逢ったから
きっと運命は大きく変わってしまったんだ。


気がついた時には、生まれ変わっていた。
ツンツン髪を珍しいなと思いながら日々は過ぎ、イジメの毎日。腕にはカッターで切った痕が増えていく。
そんなある日、今世のお母さんに見つかって、『学校は無理して行かなくていいから、自分を傷つけるのだけは止めて』と泣きながら頬を叩かれた。
それ以降は自傷行為をしなくなった。家に引きこもる事が多くなったけど。




そして今日。
お母さんが、家庭教師を雇ったと言い出した。

「ちょっ、家庭教師?」
「そう。ポストに面白いチラシが入っててね」
「……チラシ?見せて」

どこからか取り出したチラシを受け取り読み上げる。

「お子様を次世代のニューリーダーに育てます。学年・教科は問わず。リボーン」
「ね?ステキでしょ?こんなうたい文句見たことないわ」
「……」
「つ、ツー君?」

今更だけど、ここってマフィアの世界?しかも、家庭教師の名がリボーン。自分の名前が、沢田綱吉。しかも髪ツンツンで、オレンジっぽい茶色だし。

……、死亡フラグ!!

しかし今更気づいても遅い。つか何故気付かなかった自分!!いや、気付いた所でどうにもならないけどさ!!既に、知ってる内容と違うんだし。

「母さん、もしかして、もう契約済み?」
「……えぇ。住み込み契約を」

やはりというかなんというか…行動力が凄いね母さん。

「ふーん、まぁいいや」
「え?」
「契約したんなら、どうも出来んからね」
「ツー君……」

別に、お母さんが悪いわけじゃない。どうせまた、俺が悪いんだから。
 

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