もしもSAO内で幼馴染と再会したら(仮)

□2それぞれの旅
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それぞれの旅

キリトと別れ、一人血盟騎士団に入団したアスナはその実力から副団長になった。攻略を推し進め、いち早くゲームクリアを目指す。アスナの目的ははっきりしていた。攻略に役立たないことは一切取り扱わず、前進あるのみ。その手腕は見事なもので滞ると思われた攻略ペースを前以上のスピードで推し進めていった。
対してキリトはある小さなギルドに入る。アスナと別れた後、Mobに襲われていたところを助けた縁だったが、やはりずっと誰かと、アスナと一緒に行動していたからか一人でいることに疲れたのかもしれない。和気あいあいとした雰囲気に惹かれ、指導役として実際のレベルを隠して入った。それがキリトに一生の傷を残すことになる。

「キリト君が?」
風の噂でキリトがあるギルドに入った。そうアスナに報告した団員は、「あくまで噂ですが」と付け足す。しかもそのギルドはかなり下の層を拠点に活動しているらしいとも。「あのビーターがギルドに入るなど」と余計なことまで言うので視線で止めた。
「分かりました。他に報告は?」
「あ、ありません…」
退出許可を得た団員がそそくさと部屋を後にするのを横目に、アスナは深々と椅子に腰かけた。キリトがギルドに入ったのなら彼はもう一人じゃない。それは安心できる。けれど、何故血盟騎士団ではなく弱小ギルドなのか。それとも本当にただの噂なのか。確かに最近、前線であまり見なくなった。夜のうちにレベル上げに来ているとも聞いていたので、本当にギルドに入り、昼間はギルメンのレベル上げに付き合っているのだろうか。今のアスナのように。先日のボス戦には普通に居たので特に気にしていなかった。次に会ったときに確認してみよう。彼が入ったというギルドの事を。
ギルドの仕事に忙殺されていて、滅多に会うことがなくなった嘗ての相棒であり今でも心に居続ける初恋の相手。時間があれば食事に誘ってみようとも考え、次の機会が待ち遠しくなった。その頃、キリトが自らの死を考えているとも知らず。
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