3ヶ月の…

□お洗濯事情
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お洗濯事情

「どうしたの?」
「…何でもない」
「あんまりそうは見えないんだけど」
朝から不機嫌を垂れ流している友人に何があったのか訊くも何でもないと言い張るばかり。これは同居人が絡んでいることは分かるのだが、一体何があったのか。
「ほら、お姉さんに言ってごらん」
「お姉さんって…」
いつも愚痴を聞いてもらっている立場からすると確かに彼女は姉の立ち位置だ。世間知らずの自分とは違い、世の中の常識をよく分かっていると思う。だから言ってしまった。自分の認識が間違っていないと言ってほしいがために。
「…たの」
「へ?」
何だって?
全く聞こえずもう一度聞き直す。すると友人はキッと綺麗に整った眉を上げて溜めに溜めこんだ鬱憤を晴らさんばかりに叫んだ。
「シャツとパンツを一緒に洗う人っている!?」
「…えっと」
何を言っているのだ。
どうやら制服のシャツと仕事で着るYシャツを糊付けしようとネットに入れて洗濯したという。それで洗濯機でも使用できる洗濯糊で糊付けしたところ、ネットの中に同居人の下着が混ざっていたとか。
もちろん「何で分けないのよ!」と明日奈はキレて、やってしまった同居人もひたすらごめんなさいを繰り返した。
「まったく…、これで色がうつったらどうしてくれるのよ。そう思わない?」
「…え」
問題はそこですか。
どこにツッコミ入れたらいいのか分からないが、「白い洗濯物と黒の洗濯物混ぜるなんて信じられない」と言ってるところからいろんな想像をしてしまった。
「…何と言うか、あんたも大変ね」
明日奈が同居人の洗濯物を洗っている事実は瞬く間に校内に知れ渡り、後日KOBから再三にわたる事情聴取を受けた和人だった。

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