短編集
□穏やかな休日
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「そういえば、グルドさんって朝食はもう摂られたんです?」
「ん……?いや、今日はいつもより遅く起きたしわざわざ1人で食いに行くのも気が乗らなかったしで、そういや食ってなかったな」
「それじゃあ、一緒に作りませんか?朝ごはん」
「は……一緒に……って、オレも作るのか?」
「はい、ぜひ!」
言われるままに連れてこられた飲食スペースの時計をふと見てみると、針はちょうど10時をさしていた。
起きてから今まで何も口にしていない状態でこの場所に来ると、脳が胃が食物を欲する。
「では、これを着てくださいっ」
そう声をかけられつつ渡されたのは落ち着いた緑色のエプロン。
左胸には特戦隊のマークもついている。
それをまじまじと見ているグルドを不思議に思ったルーシーは尋ねた。
「どうしました?あっもしかして気に入りませんでした……?」
「いや……そうじゃなくて、このエプロン、サイズとか色とか柄とかがやけにオレ向きだなって……」
「あぁ、これ実は私が作ったんです。いつか特戦隊の皆さんとお料理してみたいなって思って……ちょっと不恰好ではありますが……」
「でも、気持ちがこもってて良いと思うぜ。……よっと、へへっどうだ?」
「……!はい、とってもよく似合ってます!」
2人の間に優しく温かい空気が流れる。
ルーシーも髪をひとくくりにしてエプロンをつけると、まもなく調理をする音が聞こえてきた。