短編集
□穏やかな休日
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割った卵を溶き、牛乳と砂糖を加えた液にふわふわなパンをひたす。
その間にレタスをちぎってミニトマトをカットする。
これを皿の隅に盛り、油と塩、それから胡椒だけを混ぜたシンプルなドレッシングをぐるりと一周回しかける。
そしたら、一つのフライパンでベーコンとスクランブルエッグを焼く。
ベーコンはカリカリで香ばしく、スクランブルエッグはトロトロで程良い半熟になったら、サラダの手前の空いた空間に移す。
この頃には先程のパンはすっかり卵液を染み込ませている。
これもフライパンで両面に焼き色がつくまで焼いていき、昨日煮込んでおいた野菜の甘みと肉の旨みで溢れているポトフを温めてスープカップに注ぐ。
最後にいい感じに焼けたフレンチトーストをおかずたちの乗っかっている皿へと仲間入り。
さぁ、これで少し遅めの朝ごはんのできあがり。
「わぁい完成!ですよ、グルドさん!」
「あぁ……。手伝ってもらったとはいえ、オレでもちゃんとメシが作れるんだな……ヘヘヘッ」
不揃いにちぎられたレタスや所々焦げているベーコン、焼き加減が均一でないスクランブルエッグ等、多少の粗さは見られるがたっぷりの気持ちはこもっている。
「グルドさん思っていたよりもずっと器用で驚きましたよ。お料理向いているんじゃないですか?」
「フッ、このグルド様を見くびってもらっちゃあ困るぜ。とはいえ、なかなか疲れるもんなんだな、料理って……」
「まぁ、そこは慣れですかね。さて、では冷めないうちにいただきましょうか」
「そうだな。じゃ、」
「「いただきます」」
2人とも手を合わせて自然の恵みに感謝をし、あたたかなごはんを口へ運ぶ。
食事を欲していた空っぽの胃の中にそれが入り、幸せな満足感が脳に、そして全身へと伝わる。
「あ〜こんなに落ち着いて朝メシ食ったのすごい久しぶりだぜ」
「特戦隊はいつもお忙しそうですもんね」
「まぁな。でも、ここでのメシとルーシーのおかげでいつも頑張ろうっておもえるんだよな」
「グルドさん……そう言っていただけて嬉しいです。でも今日は一旦頑張るのは忘れてゆっくり過ごしてくださいね」
「もちろん、そうするつもりだぜ。そう言うお前こそ今日くらいはだらけてもいいんだぜ?」
「ふふっじゃあ、そうさせてもらおうかな……。あ、そうだ」
「ん?どうした?」
「ちょっと待っててください」