暁のヨナ

□2話
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『はぁ…はぁ…』
水は城から逃げた後、ヨナたちの匂いをたどって森を歩いていた。


『はぁ…立ち止まっていられないんだ……
 なんとしてでも、ヨナ姫の元に……はぁ』
水は、毒矢を受けていた。


(もう、足の感覚も無くなってきた……
 止まったら終わりだな……
 ………この匂い……ヨナ姫様……近くにいる!!)
すると、少し先に木の下で休んでいるヨナ姫とハクを見つけた。

――――――――――――――――

《ガサガサッ》


ハ「!!!」
ハクは剣を構え警戒した。
すると、草の影から一匹の狼が出てきた。


『……ハク??』


ハ「水……か??」


『やっと……』
水はハクの足元まで来ると、倒れるように座った。


ハ「……満身創痍だな」


『…まぁね』


ハ「……ミンスは?」
その問いに無言で返す。


ハ「……よかったのか??」


『…何が?』


ハ「その姿を見せて」


『……本当は見せたくなかった……
 でも、あの非常事態にそんなこと言ってられないよ』
と言いながらハクの顔を見上げる。


ハ「もとに戻らないのか??」


『……服がない……』


ハ「……真っ裸か」


『…………』
力の入らない足を踏ん張り、ヨナ姫を温めるようにして座った。


ハ「…まだ信じられねェな。」


『…イル陛下が亡くなったこと?…』


ハ「姫を独りにして…しょーもねー王様だよ。」


『昔っから見てきた…汚れや痛みなんて知らない大切な姫様…』
僕は昔の幸せだった頃を思い出しながらヨナ姫に寄り添っていた。


『……イル陛下…私たちはどうすればいい…』


ハ「俺にはあの頃がまだ昨日の事のようですよ…」
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