暁のヨナ

□2話
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それは僕とハクが15歳の頃のこと……


ム「ハク!! こら、ハク!!💢💢」


ハ「ん?」


『ハク……重い』


ム「小僧め…今日は五部族会議があるから風の部族としてお前も出席しろと言ったろーが!!」


『そうだったの!?』
狼の姿の僕とハクがのんびりしているとムンドクが走ってきた。
会議にはムンドクだけが出席すると思っていた僕は彼の言葉に驚くばかり。


ハ「会議なら風の部族長であり高華国五将軍の一人、ムンドク様のみ出席なされば良かろう。
  それにぽよ〜んとしたイル陛下の話には付き合ってられ…」


ム「バカモノ!!
  ムンドク様ではない!じっちゃんと呼べ!!」


ハ「『そっちかよ!!/ですか!!!』」


ハ「俺とアンタは血繋がってねーだろがっ!!」


ム「血がどーした!! そんなもん愛の前には無力!!」


『ふふっww ムンドク様もハクも元気………』


陛下「こらこら…」
そこにイル陛下がやってきた。


陛下「ムンドク将軍とその後継者ハクが暴れたら緋龍城が吹き飛んじゃうじゃないか。
   水も見てないで止めてよ。」


ム「これはイル陛下。」


『申し訳ありません、イル陛下。』


ハ(やべ、ぽよ〜んとしたとか言っちまった…)
ムンドクと僕はイル陛下に頭を下げる。


陛下「ああ、伏礼なんかいーのいーの。
   久しぶりだね、ハク。
   昔みたいに城に遊びに来てくれなくて淋しいよ。
   水が狼の姿でいるなんて珍しいね。」


ハ「や、俺みたいな平民が気軽に出入りする訳には…」


『……ハクに無理やり……』


陛下「そんなの気にしないで。
   ヨナもハクがいないと淋しがっている。」


ハ「嘘つけ、このぽよん。」


『あ………』


ム「ぽよんとは何じゃぁああ!!!!」


ハ「ギャーーーッ!!!」
ムンドクが怒り鉄拳がハクに飛ぶ。
僕は呆れたようにただ溜息を吐いた。


ム「こんな無礼者、もはやワシの孫ではないっっ!!」


ハ「だから俺とアンタとは血繋がってねーんだって!!」


陛下「暴力はいけないよ、ムンドク。
   私はハクのそういう裏表のない所がお気に入りなんだ。」


『裏表がなさすぎだとは思いますが。』
と言いながら人間に戻り服を着る。
ハクはそう呟いた僕を小突こうとしたが、僕はそれを先読みして逃げる。


陛下「だからハク、ヨナの護衛としてずっと城にいてくれないかい??」


ハ「陛下、俺は“貴族”ってのが面倒で仕方ないんですよ。
  城に入ったり将軍になったりすれば家でのんびり昼寝も出来ない。」


陛下「ハク…」


ハ「陛下は武器はお嫌いなのでしょう?
  なら武器も持たずに人を護衛する世にも貴重な人間を探して下さいよ。
  水みたいに」


陛下「ハクっ…」
ハクは歩み去ってしまい、僕はイル陛下の傍に立った。


『陛下……僕もムンドク様に剣を習っています。』


陛下「なっ!!!」


『僕は、あの時の恩を返したい。
 その為には……陛下の命を確実に遂行するためには、この狼だけでは何もできません。』
水は自分の手を見ながら言った。
そのあと、陛下に頭を下げてハクの言ったであろう場所に向かって走っていった。
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