咥えタバコとハンケチ
□00:その名は
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「…人虎ねェ。場所は…ふぅん…アイツ等もいるってことか」
帽子を被り、近くにあった鞄を持つー…
洗練された動作を見るものはいない。
彼は机に出したままの本を書斎の棚にしまう。
『完全自殺マニュアル 弍』
題名を見、男は口角を上げた。
「面白くなりそうだ」
玄関に向かい靴を履くと、15歳ぐらいだろうか、金の髪に青い瞳の青年が部屋から出てきて話しかけた。
「Dove va il padre?(お父様、何処に行くのですか)」
「Sì, esco un po'. Deve comportarsi Lei stesso.(あぁ、少し。いい子にしてろよ?)」
「……Grazie per allevarmi. Padre……No, è Hukei.Per favore vada.(今までオレを育ててくれてありがとうございました、お父様、いえ、フウケイさん。いってらっしゃい)」
頭を下げる青年、男はただ何も返さずにドアを閉めた。
「俺に育てられた割には…出来た子が育ったなぁ」
もう二度と帰ることはないだろう。
後ろを振り向かず、歩き始めた。
「先ずは切符買わないと…
テレポート……こういう時に使えたか」
向かう先は小さな国。