問題の頃

□幸せの比例式
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ガチャリとドアが開いた。

「うぇーい、ただいまぁ〜」

主人、要の帰宅である。

「お帰りなさい要さん!」
ワゥンワン!
「おー。いつもより盛大じゃね?」

可笑しいものを見たように笑う要。
しかし、最終的に帰ってきたのが11時を回った
主人の帰宅を、喜ばずにはいられないのだ。

「また小テストですか?」
「んー。違いますねぇ。」

リビングに向かい始めた主人の後ろをトコトコ
ついて行く恵と海老蔵。

「うぅん……けど。中間テストは終わりましたよね。」
「君は俺がいつもテストしか作っていないと思ってます
ねぇ?」

要の少し余裕を持った話し方は、何とも
返しに困るほど的確なところを突いてくる。

「そろそろ舞台発表会が近いんですよぉ。」
「いつですか?」
「来週ですねぇ。」
「来週?!」

彼の勤める中学校は、毎年秋になるとクラスごとに
作った30分ほどの劇を発表するイベントがある。
これが運動会に並ぶ一大イベントで、要の
もつ一学年でも盛り上がっているようだ。

「どんな劇をやるんですか?」
「それはお楽しみですねぇ。観に来てくれたらの。」
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