短編
□野球選手
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〜鳥谷敬〜
「失礼しました…」
「・・・佑」
「・・・(ペコッ)」
「お、おい!ちょっと待て!」ギュッ
俺はある人物を引き止めた…
「っ!…鳥谷さん、何ですか?」
「何ですかって…お前、野球辞めんのか?」
こいつは佑・・・一昨年入ってきた後輩だ
「はぁ、誰から聞いたんです・・・別に鳥谷さんには関係ない事ですから」
「は?、関係ない…?」
「・・・・・」
「おま…ふざけんな!」ガッ
俺には関係ない…そう言って黙ったこいつにムカついた俺は胸ぐらを掴んだ
「は、離して下さい、荷物まとめなきゃ」ギュッ
俺の手に自分の手を重ねた佑・・・そのまま外そうと力を込めてきた
「なぁ…頼む、何で辞めるのか理由を教えてくれ」
「・・・嫌です、頼むから離して…!」
「佑・・・野球が嫌いになったのか?」
「違います、早く離し「佑!」っ、鳥谷、さん?」
俺は思わず佑を抱きしめた、此処で離したらもう会えない気がしたから、クソ!…やばい、涙が
「なぁ、野球辞めんなよ…お前が明日から練習にいないとか想像でき無いんだよ」
「鳥谷さん…ごめんなさい、みんな俺が悪いんです」スッ
「佑?」
俺から距離を取ると佑は深呼吸をした、そして…
「(スゥ)・・・俺、鳥谷さんが好きなんです」
「・・・・・は?」
佑の突然の告白に俺は驚いて言葉が出ない
「初めは憧れだと思ったんです、でも会話をしたり一緒に練習をしているうちにこの気持ちに気がついた…それから練習に身が入らなくなったんです」
「・・・・・」
「このままだとチームに迷惑が掛かる、タイガースファンにも…かと言って移籍してあんたと敵になるのも嫌だ、だから俺は野球から離れることにしたんです」
「・・・・・」
「すみません・・・お世話になりまし「なぁ…」っ!んぅ!?」
俺は佑にキスをした…すまない、もう無理だ
「・・・ん、はぁ」
「や、辞めて下さい!」バシッ
「っ、何すんだよ…」
「はぁ、はぁ…あんたは最低や、何のつもりやねん!」
佑は俺を殴った後涙目で睨みつけてくる、関西弁になってる時は本気でキレてる時だ
「・・・俺もお前が好きだ」
「は?…嘘つかんとって、冗談は「嘘でも冗談でもない!」っ…」
「お前が入団した時からずっと…一目惚れだった」
「・・・・・」
「頼む…これからも俺の隣で笑ってくれ、俺は失敗しても楽しそうに野球をしてる佑が大好きなんだ」
「そんな…俺」
「お前が居なくなったら、俺が死ぬぞ?」
「っ、い…嫌や!鳥谷さんが死ぬのはいやです」ギュッ
公平は泣きながら俺に抱きついてきた…
「もう、辞めるとか馬鹿なことは言わないって誓うか?」
「は、はい…う、グスッ」
佑は俺に抱きついたままずっと泣いていた、ユニフォームがびしょびしょになる程な
「全く…こんな事になるならもっと早くに告白しとけば良かった」
「っ、あの…鳥谷、さん?」
「ん、何や?」
「あ、あのね?・・・」
たかしさんって呼んでいい?
〜完〜