短編

□野球選手
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〜能見篤史編、球場〜

俺には好きな奴がいる…そいつも野球をしていて俺より優れていた、突然消えたかと思えばいつのまにか俺の試合を観に来る観客となって突然現れた

「が、頑張れ〜!!」

「うふふふ…」

「そうだ!もっと彼奴を応援してやれ」

妻と子供を連れて…
・・・・・・・・・・・・・・・・・
〜試合後〜
「はぁ…」

「お疲れさん、どうした?…せっかくの勝ち投手がそんな浮かない顔して」

「あ?…何や鳥谷か、何でもない」

俺がそう言うと何故か鳥谷はニヤニヤしてきた

「どうせこの前、お前が言ってた片思い相手が子連れで観にきてたんやろ?」

「っ、んなわけ無いやろ!」ガチャっ

バタン
「・・・何だよ図星か?」

「っ、クソ(何やねん、鳥谷の奴…勘が良すぎや!)」

俺は更衣室を出た後球場の外へ出た…でもそこに居たのは

「・・・お疲れ様、大活躍だったな?…覚えてるか?」ダッ

「っ!?・・・佑」

球場の前に居た彼は突然俺の前から消えた原田 佑だった

「お、覚えてたか…久し振り」

最後に見たのは何年振りか…笑った顔は昔と変わらない、俺がヘマをした時いつも励ましてくれたあの笑顔だった

「・・・今更何の用や、突然消えた奴が」

「あはは、冷たいんだな…まぁそれもそうか」

「はぁ…じゃあな」

今日は最悪や…顔も見たく無い俺は佑の横を早歩きで通り過ぎようとした、でも

「っ、待って!」ガシッ

「やかましい!離せや!」バッ

俺の肩を掴んできた佑、でも勢いよく振り払った所為で尻餅をついた

「いって〜…」

「・・・・・」スッ

俺は座り込んだままの佑を見下ろして再び歩き始めた、でも

「ま、待って下さい!!」

「・・・君は」

突然俺の前で通せんぼをした少年、彼はさっきまで佑と応援をしていた…

「こ、浩太?なんでここに」

「すまんな坊や、通してくれ」

俺は浩太と呼ばれる少年をどかそうと近づいた、でも

「・・・貴方がそんな人だったなんて、佑おじちゃんは最近歩けるようになったばかりなんです!ひどいじゃ無いですか!」

「っ、どういう事や?」

「え、まさか何も聞いてないんですか?」

(・・・・・)

(佑?)

(はぁ…取り敢えず立たせてくれ)
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