平凡が一番

□小さな歪み
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何時何処で何をどう間違えたのだろう?
私の知らないところで既に話は変わっていた。




「宮野明美と付き合ってたのはスコッチってどう言う事⁉」



赤井秀一と危険なランチ中だが、私は叫ばずにはいられなかった。
「叫ぶな」と、赤井秀一に嗜められたがそれどころじゃない。
私の知る原作では、宮野明美と付き合っていたのは目の前にいる赤井秀一だった筈だ。
だが、赤井秀一は宮野明美と付き合ってたのはスコッチの方だと言った。



「彼女とスコッチがつき合い始めたのはいつだ」



「俺と別れた後直ぐになるな」



別れた?別れただと⁉そんな設定知らんわ!
彼曰、宮野明美は組織に潜入するために利用しただけで、恋愛感情は全くなく彼女から別れをきり出されたため別れたらしい。



「…不味い」



彼女と付き合っていたのが本当にスコッチなら、彼女が殺される事件が早まる可能性がある。



「彼女が危ない」



私の言葉に赤井秀一は怪訝そうな顔をした。



「危ない?宮野明美がか?」



「そうだ」



何故宮野明美が危なくなるのか分からないと言う顔をする赤井秀一に、説明するのも面倒になった私は荷物を持ち席をたった。



「待て」



店を出たところで背後から腕を掴まれ、仕方なく足を止めた。



「腕を離せ。
私は早急にやらなければならない事があるんだが」



「宮野明美が危ないとはどうゆう事だ」



「そのままの意味だ。
FBIや公安が無責任に近づいたせいで、彼女は組織に近いうちに消される運命だ」



私がそう言うと、理由がわかったのか腕の拘束が解かれた。



「彼女が危険なのはわかったが、キミが何故そこまで助けようとする」



「…消されるとわかっていながら何もしないと後味が悪いからな」



「それが理由か」



「ああ、そうだ。
だから、スコッチの時も時間を稼いでやっただろ」



そう言えば、赤井秀一は何か考える素振りを見せた後、再び私の腕を掴んだ。



「離せ」



そう言ってみるが、今度は離す気配はなくそのまま引き摺られる様にして連れて行かれたのは赤井秀一の愛車、C-1500の前。



「乗れ」



赤井秀一は短くそう言うと、助手席のドアを開けた。
何故乗る必要があるのか、イラつきもあり睨むと、赤井秀一は溜め息をつき口を開いた。



「会わせたい人間がいる」



会わせたい人間?私に?話の流れから察するに、おそらく赤井秀一の“会わせたい人間”とはスコッチの事だろう。
私は小さく息を吐いて車に乗った。
これでもし、スコッチ以外の人物が待っていたら、その時私は今隣で運転している男を思いっきり殴るだろう。











(それで、何処に向かってるんだ?)
(俺の借りている部屋だ)
((殴ってしまおうか…))



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