過去拍手


◆バレンタイン 

〉2月14日




「どうしたものか…」



私は困っていた。
世間はバレンタイン一色で染まっている中、私はひたすらに悩んでいた。



「やっぱり、作らなきゃよかった…」



目の前には綺麗にラッピングされたチョコレートが1つ。
昨日、蘭と園子に巻き込まれ作った所謂“手作りチョコ”と言うやつだ。
作ったのはいいけど、このチョコの行く先は決まってない。
何せ、恋人である赤井秀一は今仕事で日本にいないのだ。



「はぁ…、自分で食べるかな」



「−−俺にくれるんじゃないのか?」



「!?」



聞こえるはずのない声に驚いて振り返ると、数日前と変わらない恋人がいた。



「け、気配消すの止めてって言ったのに!」



「帰って来た恋人に言う言葉がそれとはな。
変わらないな」



「数日で変わるわけないでしょ。
…お帰り、秀一」



「ただいま。
それで?それは俺にくれないのか?」



「……」



私は無言でラッピングを解いて蓋を開けると、チョコを1つ取り出して口に入れた。
そして、そのまま−−



「ん、HappyValentine秀一」



口づけた。
秀一の驚いた顔が可愛くて、私が笑うと少し拗ねたような顔をした後、優しく抱き締められた。



2020/04/07(Tue) 02:41 

◆クリスマス(〜2/14) 

今日は12月25日。
巷はクリスマス一色に染まっている。
おまけに今年は雪も降りホワイトクリスマスだ。
恋人たちは今頃、ケーキでも食べながら仲良く過ごしているだろう。
そんなクリスマスを、今私は恋人がいるにも関わらず一人で過ごしている。




「……クリスマスなんか、大嫌いだー!」




恋人である赤井秀一とは今日、私の部屋で一緒に過ごす約束をしていた。
なのに!時間になっても全く来る気配はない。
メールも電話もしてみたけど応答なし。
デートを仕事ですっぽかされる事はよくある事で馴れてる。
でも、今日は…今日ぐらいは一緒に過ごしたいーーそう思うのは私の我が儘だろうか?




「…もうすぐクリスマスも終わりか……」




時計を見ると0時まで後10分…。
目の前の手付かずの料理を見ると余計に空しくなった。




「寝よ…」




料理にラップをかけ、寝室からブランケットを持ってきてソファーに横になる。
そのままブランケットを頭から被って目を閉じた。




「赤井さんのバカ…」







〉次の日ーー







「え?」




目を覚ますと、そこはソファーではなくベッドで、枕元には可愛くラッピングされた小さな箱が一つ。
ラッピングを解いて出てきたものに私は目を疑った。




「これーー」




「これから先、俺と一緒に生きて欲しい」




「っ!赤井…さん……」




「返事を貰えないか?」




「…クリスマスをひとりで過ごすのは嫌」




「すまなかった」




「これから先、クリスマスを一緒に過ごしてくれるなら」




「約束しよう」




「大好き、赤井さん!」




「愛している」




「私も、愛してる」

●●

2018/02/14(Wed) 17:32 

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