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□Awkward one_side love
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そう、俺達は付き合っている。
好きになったのは多分俺の方だと思う。
岩ちゃんはガサツだけど優しくて頼り甲斐もあって気が利くこともある。その優しさに惚れたのかいつの間にか岩ちゃんばかり目で追っていくようになって。つい。
感情が表に出ちゃって。
「…俺、好きなんだ。」
岩ちゃんのこと。
別に付き合うとか付き合わないとかそんな事はどうでもよかった。ただ気持ちを伝えたくて。
「…え、冗談…ですよね??」
見ると岩ちゃんは苦笑い。
あ、やっぱりそうだよな。男に告白されるなんて気持ち悪いもんな。
「…あー…うん。じょうだん。忘れて。」
胸に鋭い何かが刺さったような感覚だった。
痛くて苦しくて、どうしていいか分からないくらい。俺は我慢ができず重い足を引きずってその場から立ち去ろうとした時に、
「…っ、なに、離してよ。」
「無理です。」
「…なん…っで、」
「泣いている人を放っておく程俺は鬼畜じゃないんで。」
泣いてる……?
目元に手をやると冷たい何かが流れた。
俺泣いてる。それほど本気だったんだ。
「泣くほど本気なんですね。」
「…っ、」
確実に終わった。メンバーとして。リーダーとして。そして1人の人間として。軽蔑されただろうか。そんなの当たり前だよな。
「…からかわれてるのかと思った…。」
「え、っ?、」
俺も直人さんのこと好きだから。
俺の気持ち知っててそういう冗談言っているのかと思った。いつもと違く弱々しく呟いた。
「…え、す…き、?」
「はい、すき…、です。」
「…嘘だ、」
岩ちゃん優しいから俺に合わせているに違いない。絶対にそうだ。
「がんちゃ…っ、んぅ、ん、!」
うそ…、岩ちゃん俺にキスしてる。
まだ信じられなくて。だけど嬉しくて。
「俺、好きな人以外とキスとかしませんよ?」
まあ、飲み会は別の話で、
なんてハニカミながら笑う。
「嘘だと思うなら俺に言えばいい、不安な分だけ教えてあげますよ。」
俺がどんなにあなたを好きか。
そんな事を真っ直ぐな目で言われたら岩ちゃんも本気なんだって思ってしまう。
「…ばかじゃねーの。」
「はい。」
「あほ」
「はい。」
「岩ちゃんの…」
「黙って。」
指を唇に押し当てられ言葉を遮られた。
気づけば涙も止まっていて。
岩ちゃんとの距離が5センチとギリギリのラインでドキドキする。
「じゃあ、今日から直人さんは俺のってことっすね。」
覚悟してくださいね?
今まで我慢してきたんです。
あんたは俺のものだ。
そうぎらついた目で言われた。
あー、俺はとんでもないライオンに捕まったみたいだ。望むところだよ。ばか。