Hero of the End〜Legend of Zelda〜

□第零話
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双子が壁に隠れてある者達の様子をうかがっている。
黒き肌の男がニヤリと笑う。
「なぁ、そんなところに隠れてどうしたんや」
ビクリと双子は肩を揺らす。バレていた?
「俺達の関係。知りたいんやろ?」
双子の両親を死に追いやり、ハイラルを惑わした真犯人が
こちらを見ている。
「お前達の両親も、私達の計画には必要だったのだ」
耳が尖った男が笑いもせずに邪神像を見上げる。
邪神像は相も変わらずこちらも見ずに笑っているように見える。
「…あたいらは、元は勇者の仲間だったんだよ」
まだ幼い様子の赤い髪の少女が拳を握りしめる。
彼女は語りたくないようだ。自分の罪を。
双子は理解に苦しむ。
彼らが双子にしたことは、間違いもなく【終焉の者】を加担するような
そんな最悪な罪なのだ。それが、勇者の仲間だったと?
「神って残酷よね…私達のこと、嫌いだって言うんだもの」
金色の瞳を持った女は相棒である短剣を片手にクスリと笑う。
「どれだけ神に祈っても、その祈りは届かないのよ」
ゾクリと背筋が凍る気がした。双子は逃げる。
それをただ何かするわけでもなく見送ったこの者達は
ただただ走り去ろうとする双子を見つめた。
「運命の輪は既に、お前達にも…ね」
白い髪の妖精だった男が厭らしく笑う。
双子は気づく。走っても走っても景色が動いていないことに。
「ねぇ…私達の過去の話、聞いてくれない?」
双子に近づく金色の瞳の女性は再びクスリと笑う。
「私ね…貴方達に知っていてもらいたいのよ」
それは双子だけでなく、この場に見えていない者達にも言っているように見える。
「彼がいなければ、この世界が救われることはなかった。
だけど、この世界が救ったのは?」
平和のために駆け巡った勇者は一体加害者なのか、被害者なのか。
それは…。


Hero of the End


神話のページが一枚、めくれる音がした。

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